有能なベーシックカーが最高の素材 フォーカス ST170 高性能フォード:欧州での60年(5)

公開 : 2023.07.30 07:06

フォード・フォーカス ST170(2002~2005年/英国仕様)のスペック

英国価格:1万6340ポンド(新車時)/5000ポンド(約90万円)以下(現在)
販売台数:−台
全長:4174mm
全幅:1702mm
全高:1430mm
最高速度:231km/h
0-97km/h加速:7.9秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1283kg
パワートレイン:直列4気筒1988cc自然吸気DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:173ps/7000rpm
最大トルク:19.8g-m/5500rpm
ギアボックス:6速マニュアル(前輪駆動)

高性能がお手頃に提供されてきた60年

今回、英国編集部が集めた5台のドライビング体験は、それぞれ大きく異なる。それでも、予算に見合った動力性能と、当時の高度な技術を巧みに融合させるという、フォードの達成力では共通している。

日常的な実用性は、まったく犠牲になっていない。扱いやすい主力モデルをベースにすることで、優れた性能が比較的安価に提供されてきた。その点でも、非常にフォードらしいモデルだといえる。

手前からホワイトのロータス・コルティナ、グリーンのフォード・カプリ RS 3100、ブラックのフォード・エスコート RSコスワース、レッドのフォード・シエラ XR4i、ガンメタリックのフォード・フォーカス ST170
手前からホワイトのロータス・コルティナ、グリーンのフォード・カプリ RS 3100、ブラックのフォード・エスコート RSコスワース、レッドのフォード・シエラ XR4i、ガンメタリックのフォード・フォーカス ST170

家族が増えても、クルマ好きがスポーツカーを諦めずに済む選択肢でもあった。2台を所有する余裕がなくても、ドライビング体験を堪能することが許されてきた。

今回の目的は、1番の高性能フォードを見つけ出すことではない。この5台のほかにも、量産車をベースにした好例は複数存在する。それでも、60年間の歴史を辿る興味深い比較にはなっただろう。

ロータス・コルティナの頃から、明確なテーマのもとで欧州フォードは特別なモデルを手掛けてきた。社内・社外を問わず、有能な技術者の才能を注ぎながら。直近の20年間でも、フォーカス STを筆頭とする傑作が多くのドライバーを喜ばせてきた。

フィエスタの生産が終了し、マスタングを名乗る電動SUVのマッハEが登場するなど、フォードの今後は不透明ではある。しかし、多くの注目を集めるモデルが引き続き登場するであろうことは、想像に難くない。われわれに現実的な価格帯で。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェイソン・フォン

    Jayson Fong

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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