アルピナD4Sグランクーペに試乗 「改善すべきところが思い浮かばない」は本当か?

公開 : 2023.07.24 19:05  更新 : 2023.07.25 19:58

BMWアルピナD4Sグランクーペの試乗記です。英国編集部のインプレッションは本当か? 確かめました。

選択肢が増えた21世紀のアルピナ

かつてのBMWは非常にシンプルなラインナップで、その中からベースモデルを選ぶアルピナの顔ぶれはそれ以上にすっきりとしていた。

B3かB5かB7のいわゆるリムジンがメイン、あとはその時々で、という感じ。

アルピナD4Sグランクーペ。3Lの直6ディーゼル・ビターボなのだが、同じG26のボディを使用した3LガソリンのB4グランクーペも選ぶことができる。
アルピナD4Sグランクーペ。3Lの直6ディーゼル・ビターボなのだが、同じG26のボディを使用した3LガソリンのB4グランクーペも選ぶことができる。

だが時代は変わり、21世紀のアルピナのパワーユニットはガソリン以外にディーゼルも選べるようになり、ボディのバリエーションも増えた。

現行モデルではSUVやツーリング(ステーションワゴン)、そしてグランクーペも選べるようになっているのだ。

本稿の主役たるBMWアルピナD4Sグランクーペはその名の通りBMW 4シリーズのグランクーペをベースにした4枚ドアのスタイリッシュな1台だ。

現行のBMW4シリーズのグランクーペは2代目となっているが、アルピナとしては今回が初のモデル化となる。今回試乗したモデルはD4Sグランクーペ、つまり3Lの直6ディーゼル・ビターボなのだが、同じG26のボディを使用した3LガソリンのB4グランクーペも選ぶことができる。

筆者が以前からD4Sグランクーペに試乗してみたかった理由は、今年1月にアップされた記事で、英国編集部のマット・ソーンダースが「改善すべきところが思い浮かばない」と評価していたからである。

彼は1000kmを無給油で走れる省燃費性能を高く評価していたが、アルピナの魅力は効率の良さだけではないはず。さあ実車に触れてみよう。

究極のディーゼルはパワフル&省燃費

D4SグランクーペはBMWのM4でおなじみの縦長のキドニーグリルとアルピナ製のチンスポイラーによって厚みを感じさせるフロントマスクを特徴としている。

試乗車の室内は随所にブルーのレザーが配されていた。ブルーのアクセントはアルピナを象徴するブルーのメーターパネルと相性抜群。2台と同じ仕様がないと言われるアルピナらしさが増して感じられた。

試乗車の室内は随所にブルーのレザーが配されていた。ブルーのアクセントはアルピナを象徴するブルーのメーターパネルと相性抜群。
試乗車の室内は随所にブルーのレザーが配されていた。ブルーのアクセントはアルピナを象徴するブルーのメーターパネルと相性抜群。

走り出した瞬間に驚かされたのはステアリングを通じた手応えの強さだった。D4SのベースとなったBMW M440i xドライブ・グランクーペの軽やかなタッチとはまるで別物。操舵自体はEPS(電動パワステ)が効いているので重くはないが、直進性が高く、太いタイヤが地面を掴んでいる感覚がよくわかる。

一方アルピナ製の3Lツインターボ・ディーゼルユニットはストレート6と48VのMHEVシステムがうまく融合しており、回転フィールが非常に緻密。スロットルを強く踏み込むと5000回転のリミットまで大排気量のガソリン自然吸気エンジンのような怒涛のトルクを感じさせつつ吹け上がっていく。

8速スイッチトロニックのレスポンスも鋭いので、積極的にステアリング裏のパドルでシフトを楽しもうという気にさせてくれる。

気兼ねなくエンジンを回して走っている最中、ふとメーター内の燃費計を確認すると10.4km/Lの文字! そこであらためてディーゼルである事実を再確認させられた。

アルピナほど上手くディーゼルの旨味を引き出しているブランドはないはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    ハリソン 小川

    Harrison Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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