もうすぐ買えなくなる『最後の純血アルピナ』(2)B4 GTグランクーペ編【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.05.25 12:05

2025年末でブランド商標権をBMWへ譲渡し、新型車開発や生産を終了した『アルピナ』。日本でも在庫限りの状況です。そんなもうすぐ買えなくなる『最後の純血種』を、スーパーカー超王こと山崎元裕が味わいます。その後編です。

アルピナの名を持つコンパクトなモデル

『D3 S』とともに、アルピナのラストモデルとしてレポートするのは『B4 GTグランクーペ』。

D3 Sの項でも報告しているとおり、アルピナ・ブランドの譲渡に伴ってBMWはグループ内に『BMWアルピナ』を新たに組織するに至っているが、そのブランドコンセプトは、メルセデス・マイバッハを意識した超高級車戦略にあることは容易に想像できる。

続いてレポートするのは、『BMW アルピナB4 GTグランクーペ』。
続いてレポートするのは、『BMW アルピナB4 GTグランクーペ』。    佐藤亮太

つまりアルピナの名を持つコンパクトなモデルが、今後は誕生する可能性は低いと見るのならば、このB4 GTグランクーペが持つバリューは限りなく高いといえるだろう。

B4 GTグランクーペのステアリングを握るのは今回が初めてのことではないが、改めてこのモデルをドライブするチャンスが得られたことは本当に幸せだった。ベースとなっているのはもちろんBMWの4シリーズ・グランクーペ。その流麗なアッパーラインはもちろんのこと、一瞬そのスタイルを見ただけでは、アルピナの手がエクステリアのどこに施されているのかを識別するのは難しいほどだ。

そこでじっくりディテールを観察すると、コンパクトなカナードやスプリッターが組み合わされるフロントスポイラー、トランクリッド上のリアスポイラーなどはアルピナのオリジナルであることなどがわかる。

前後の20インチ径ホイールももちろんアルピナのオリジナルとなり、その『オロ・テクニコ』と呼ばれるカラーは、アルピナ・グリーンのボディとも巧みにマッチしている。

一瞬でも早くスタートボタンを押したい

快適な座り心地とともに抜群なホールド性を感じさせるドライバーズシートに身を委ねると、一瞬でも早くセンターコンソール上のエンジンスタートボタンを押したくなる衝動に駆られた。

参考までにフロントに搭載されるガソリンエンジンは、2992ccの直列6気筒DOHCツインターボ。最高出力と最大トルクは、それぞれ529ps、730Nmという数字だ。後者は2500~4500rpmのレンジでフラットに発揮されるセッティングとなる。

B4 GTグランクーペのインテリア。取材車は左ハンドルだった。
B4 GTグランクーペのインテリア。取材車は左ハンドルだった。    佐藤亮太

ミッションはアルピナ・スイッチトロニック付き8速AT。駆動方式は前後輪の伝達トルクが最適に可変される4WDだが、アルピナはベース車に対してやや後輪へのトルク配分を重視する方向にセッティングを改めている。またリアには電子制御LSDも備えられる。

レバー型がそのまま継承されたシフトセレクターでDレンジを選びアクセルペダルを軽く踏み込むと、B4 GTグランクーペはあくまでもジェントルにスピードを高めていく。

アルピナのコーポレートカラーともいえるブルーを基調色としたフルデジタルのメーターパネルの視認性も良く、そのグラフィックを見ているだけでも走りへの期待感は大きく増していく。ただ、D字シェイプの太いリムを持つステアリングホイール裏にフィットされるマニュアルシフトを行うためのパドルは、ややそのサイズが小さく操作がしにくい印象だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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