縦目の新世代 メルセデス・ベンツW114/W115型 4ドアサルーンと2ドアクーペ 後編

公開 : 2023.09.03 17:46

メルセデスの新世代を象徴するモデルといえた、W114型とW115型。多彩なバリエーションの一部、5種を英国編集部がご紹介します。

ポール・ウェラー氏が乗っていたW114型

ネイビー・ブルーの4ドアサルーンは、コリン・カミングス氏が所有するW114型のメルセデス・ベンツ250。ミュージシャンのポール・ウェラー氏が過去に乗っていた車両で、知り合いだったコリンが直接彼へ買い取りを願い出たという。

落ち着いた彩度のボディカラーが、メルセデス・ベンツのサルーンらしい、端正なスタイリングと見事にマッチしている。ホーンリング付きの大きなステアリングホイールや三角窓、無駄を省いたシンプルなインテリアなど、初期型らしい特徴を備える。

メルセデス・ベンツ250(W114型/1968〜1976年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ250(W114型/1968〜1976年/英国仕様)

サイドドアは、現代的なモデルと変わらずソリッドに閉まる。運転席からの視界に優れ、ドライビングポジションは起き気味。運転に気が散りそうな部分はまったくない。

車重は約1360kgで、現代の水準でいえば軽い方。操縦へ正確に反応し、一般道では能力に大きな余裕があることがわかる。

半世紀以上前のクラシックサルーンだから、エンジンはガタガタとうるさく、オートマティックは滑らかに変速しないように想像するかもしれない。しかし、穏やかな気持でキビキビと運転できる。

パワーステアリングの感触は好ましく、乗り心地は適度にしなやか。恐らく、普段使いにも問題ないだろう。唯一、1000rpm当たり28.5km/hという低めのギア比が、高速道路での快適性に影響を与えそうだ。

魅力的に映るエレガントなサイドシルエット

ブルー・シルバーの250CEと、シルバーの280CEの2台をお持ちいただいたのは、トニー・セリーニ氏。イラクで幼い頃を過ごし、その時にW114型/W115型が好きになったという。

1969年に導入されたクーペのCやCEは、手作業で仕上げられたW111型/W112型より身近な2ドアモデルを提供しようという、メルセデス・ベンツ初の取り組みだった。エレガントなサイドシルエットは、現代では一層魅力的に映る。

メルセデス・ベンツ250CE(W114型/1968〜1972年/英国仕様)
メルセデス・ベンツ250CE(W114型/1968〜1972年/英国仕様)

生産数は、4ドアサルーンのように多くはない。ボディパネルやラバーシールなどの交換部品は、既に発見が難しいという。

フロントガラスの付け根までは、基本的に4ドアサルーンと同じ。しかしセンターピラーがなく、全高は約50mm低い。見た目の印象は大きく異なり、フラットなルーフパネルがパゴダルーフのSLとの結びつきを想起させる。

キャビンの前後長が短縮され、荷室は広い。着座位置も低く設定され、リアシートは若干狭いものの、ドアが長く乗降性はさほど悪くない。

ブルーの230.4は、ゴードン・ブレーン氏がオーナー。南アフリカで活躍するW114型/W115型へ関心を抱き、オーナーになることを決めたそうだ。2オーナー車で状態は非常に良く、1974年に施されたフェイスリフト後のモデルとなる。

フロントグリルの幅が広がり、ボンネットが低くなり、前後のバンパーはシングルになっている。汚れを防ぐ、横方向に凹凸の入ったテールライトも特徴の1つ。センターパッド付きのステアリングホイールと相まって、W116型Sクラスとの近さも香る。

記事に関わった人々

  • マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • リュク・レーシー

    Luc Lacey

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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