愛着湧く小さなイタ車 フィアット500e(2) UP! GTIより素早い加速 ミニ彷彿の敏捷性

公開 : 2025.08.28 19:10

半世紀前のアイデンティティを継承する500e レトロモダンな雰囲気で統一された車内 UP! GTIより素早い加速 物足りない航続距離 期待以上のグリップとトラクション UK編集部が試乗

UP! GTIより素早い加速 シェルパは非常用

4代目フィアット500のハイブリッド版は、間もなく生産が始まる。他方、駆動用モーターで走る電動の500eは、118ps仕様なら0-100km/h加速を9.0秒でこなす。フォルクスワーゲンUp! GTIより、0.3秒も素早い。

車重は1365kgと軽くないが、リミッターで制限される148km/hの最高速度まで軽々と到達してみせる。このクラスの電動ハッチバックとして、動力性能に不満はないだろう。

フィアット500e 42kWh レッド(英国仕様)
フィアット500e 42kWh レッド(英国仕様)

ドライブモードは、ノーマル、レンジ、シェルパの3種類がある。ノーマルは回生ブレーキの効きが弱く、EVらしく効率的に走りたいなら、レンジ・モードがベター。シェルパは電欠間際の非常用といえ、エアコンがオフになり、80km/hまでしか出せない。

ノーマル・モードで運動エネルギーを積極的に回生するには、ブレーキペダルを踏むことになる。反応は漸進的だが、普段使いの速度域では少し過敏かもしれない。回生ブレーキの強さは、パドルなどで調整できると良いのだが。

期待以上のグリップとトラクション

小さなシティーカーらしく、操縦性は安定重視。ステアリングホイールには、路面の感触は殆ど伝わってこない。

とはいえ、グリップとトラクションは期待以上。短く高めなプロポーションで、ロールは隠さないものの、軽快に進路を選べる。速度域の高いカーブを飛ばしても、不安感は小さい。大型トラックを追い越すような場面を除き、高速道路でのすわりも悪くない。

フィアット500e 42kWh レッド(英国仕様)
フィアット500e 42kWh レッド(英国仕様)

サスペンションは硬め。低速で凹凸を通過すると若干反発するような仕草があり、前後へ揺れがちでもある。しなやかな衝撃吸収性までは得ておらず、滑らかな路面でない限り、車内は落ち着かない。風切り音やロードノイズも、小さくない。

そのかわり、短いホイールベースと相まって、敏捷性は往年のミニを彷彿とさせるもの。ドライバーの操縦へ、忠実に反応してくれる。500eがベースになった、アバルト500eの楽しさへ繋がるようだ。

一連の運転支援が標準 現実の航続距離は225km

運転支援システムは、車線維持支援や交通標識認識、ドライバー監視、衝突被害軽減ブレーキなどの一連が標準。試乗車の限り、いずれの反応も好ましいものだった。歩行者や自転車などを、誤認することもなかった。

もし不要なら、車線維持支援はウインカーレバー先端のボタンでオフにできる。アダプティブ・クルーズコントロールや360度カメラなどは、上位グレードに実装される。

フィアット500e 42kWh レッド(英国仕様)
フィアット500e 42kWh レッド(英国仕様)

衝突安全性は、最新のユーロNCAPテストで4つ星。悪い結果ではないものの、より乗員を守ってくれるライバルは存在する。小柄なボディが故に、交通量の多い道では感覚的にか弱く感じられることも事実ではある。

今回得られた航続距離は、37.3kWhのバッテリーで高速道路を交えて225km。市街地が中心で、バッテリーへ適した気温なら、250km程度までは伸びそうだ。反面、高速道路を飛ばすと200kmに届かないかも。急速充電は、最大85kWに対応する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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