EV戦略見直し アバルト、ガソリンエンジン搭載モデル復活か 『500ハイブリッド』の1.0L 3気筒に課題

公開 : 2025.11.28 07:45

アバルトは、フィアットの新型『500ハイブリッド』をベースとするガソリンエンジン搭載のホットハッチ導入を検討中です。顧客からのフィードバックと販売台数の減少を受け、EV戦略見直しを進めています。

内燃機関を求めるファンの声に応えて

アバルトは、新型のフィアット『500ハイブリッド』をベースにしたガソリンエンジン搭載のホットハッチの導入を検討中だ。欧州部門責任者がAUTOCARの取材で明らかにした。

アバルトは現在EVのみを販売しており、ガソリンエンジン搭載の『595』と『695』は2024年8月に生産終了した。これらのベースとなった先代のフィアット500も同時に生産終了している。

アバルト595などのガソリンモデルは昨年生産終了した。
アバルト595などのガソリンモデルは昨年生産終了した。

しかし、現行の『500e』と『600e』に対する顧客の反応を受け、戦略の見直しを迫られた。

「アバルトのお客様は、パワーだけでなく、基本的に自らの手で改造するため内燃機関を求めています。EVではそれができません。彼らにとっては制約なのです。エンジンや燃料に手を加えられない。そのため、アバルトのファンは不満を抱いているのです」と、フィアットとアバルトの欧州部門を担当するガエターノ・トレル氏は述べた。

実際、ガソリンモデルの生産終了後、アバルトの販売台数は大幅に減少している。英国自動車製造販売者協会(SMMT)のデータによると、今年に入って英国での販売台数は273台にとどまる。前年同期の954台から減少したほか、2018年の5631台と比べると大幅な落ち込みと言える。

トレル氏は、新型500ハイブリッドのプラットフォーム(500eと共通)が理論上はより高い出力に対応可能だと認めた。しかし、最高出力65psの自然吸気1.0L 3気筒では「それを実現できない」という。

500ハイブリッドは市街地走行を主眼に置いた設計のため、0-100km/h加速は16.2秒と、かなり抑えた性能となっている。また、このエンジンは2000rpmからリニアにパワーを発揮する特性を持ち、高回転を求めるアバルトのドライバーには不向きだという。

アバルトには、500ハイブリッドにどのエンジンを移植するか、あるいは既存の1.0Lユニットをいかに強化するかという大きな課題が残されている。

プラットフォームはもともと小型モーターを搭載するフィアット500e専用に設計されたため、既存の1.0Lエンジンより大幅に排気量をアップしたり、冷却性能を向上させたりする余地はほとんどない。

また、ニッチ製品であるアバルト500の開発には費用対効果というハードルも存在する。

それでも「挑戦しています」とトレル氏は語った。

新型アバルト500が実現するかどうかは現時点では定かではない。しかし、トレル氏の発言は、アバルトが「EVのみを販売する」という従来戦略から脱却する可能性を示唆するものだ。500や600だけでなく、計画中の将来モデルにも大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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