不評だったステップノーズ トヨタ・クラウン(4代目) クジラ・クーペの不思議な魅力(1)

公開 : 2023.10.22 17:45

2段に別れたステップノーズの4代目

3代目、S50系へのモデルチェンジは1967年。アメリカの安全基準へ合致する、フロア
の外周を構造材で囲ったペリメーター・フレームを採用し、前後のアクスルはコイルスプリングが支えた。フロントには、ディスクブレーキも装備された。

サルーンのほかに、クーペとピックアップトラックも登場。日本ではタクシーの定番モデルになっていたが、パーソナルなニーズを拡大する狙いがあった。

トヨタ・クラウン(4代目/1971〜1974年/英国仕様) 
トヨタクラウン(4代目/1971〜1974年/英国仕様) 

グレートブリテン島へクラウンが上陸したのも、3代目から。サルーンとステーションワゴンが提供され、116psの直列6気筒エンジンを載せ、トヨグライドと名付けられた3速ATが標準装備。英国価格は1468ポンドからだった。

ティントガラスにリクライニングシート、選局機能付きラジオ、パワーアンテナなどの整った装備が後押しし、ある程度の数が売れた。輸入代理店が、1971年に登場した4代目も導入しようと考えるには不足ない台数だった。 

このS60/S75系、通称「クジラ・クラウン」は、輸出台数が制限されていた。それでも、ヴォグゾールオースチンなどの大型サルーンがモデル末期を迎えていたことで、
理想的なタイミングになった。

スタイリングで最大の特徴は、2段に別れたフロントのステップノーズ。ウインカーがサイドに回る処理は、同時期のクライスラーへ似ていたが、トヨタは空気力学が導いたものだと主張した。

斬新なデザインではあったが、保守的な日本では不評を買った。当初はボディと同色に塗られていたバンパーは、マイナーチェンジ時にクロームメッキへ変更されてもいる。

この続きは、トヨタ・クラウン(4代目) クジラ・クーペの不思議な魅力(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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