プジョー408 詳細データテスト 斬新なスタイル 予想外に良好なハンドリング 乗り心地はやや過敏

公開 : 2023.10.21 20:25  更新 : 2024.02.16 23:41

プジョーの新ジャンルカーである408は、斬新な外観と質感が高く快適な室内に、良好なハンドリングを兼備。テストした仕様は動力性能がほどほどで、乗り心地は改善の余地ありですが、代わるもののないクルマになっています。

はじめに

プジョーの3桁数字を用いる車名は、数十年に渡り大きく変わってはいない。1960年代初頭、ポルシェが新型スポーツカーを901と名付けようとして、商標侵害にあたるというプジョーのクレームで911に改めたという話は有名だ。

それゆえ、よく知られている慣習的なこともある。たとえば3ではじまるのは中型ハッチバック、9ではじまるのはル・マン制覇を目指すトップクラスの耐久マシンだ。しかし、そこまで明確に決まったものがない4が、ときとしてもっとも好ましく興味深いクルマに与えられてきた。

テスト車:プジョー408ハイブリッド180 E-EAT8 GT
テスト車:プジョー408ハイブリッド180 E-EAT8 GT    JACK HARRISON

1935年の402は、後輪スパッツを備える、ファミリーカーでありながら空力を考慮したクルマとしてはごく初期の一例だ。打って変わって403は『刑事コロンボ』の劇中車でおなじみの愛すべき小さなクルマで、ブランドのデザイン言語の近代化を牽引した。販売台数が100万台を超えた初のプジョーでもある。

その後、405のMi16は多くのクルマ好きのハートを射止めたが、これは実質的に205GTiのセダンバージョン。記憶に新しいところでは、406も魅力的だった。とくに、ピニンファリーナが手がけたクーペは、1990年代を通してみても、もっとも美しいクルマの部類に入る。

それゆえ、408がちょっとこれまでになかったようなカテゴリーのクルマとして登場しても、驚きはしなかった。これを「セダンとSUVの融合」だとわれわれに語ったのは、プジョーのリンダ・ジャクソンCEOだ。斬新なほどにストレートな表現だが、それ以上の形容はいらない。

ノッチバックのクロスオーバーは、徐々に一般化しつつある。SUVに求めるような地上高と、そこまでどんくさくない、よりエレガントなボディを両立する。遠くないうちに、この手のクルマは増えそうだ。

そんななかで、ランゲージ・オブ・アトラクションと題した新たなデザインアプローチを、この目を引く興味深い408で具現化してみせたプジョーの判断はなかなか抜け目がない。とはいえ、デザイン先行で中身がないのでは困る。そこを検証しよう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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