新型スペーシアが、スズキの切り札となるワケ 軽のトップ争いが過熱

公開 : 2023.11.09 11:36

オットマンモードの約束事

なお、オットマンモードでは足が宙に浮いてしまい走行中は安定した姿勢を維持しにくくなる。

そのため、駐車しての“休憩時に使用して欲しい”とのこと。走行中はレッグサポートモードで快適に過ごしたい。

マルチユースフラップを引き伸ばした「オットマンモード」。脚を伸ばせるので、駐車中にリラックスしたいときに使おう。写真はカスタム・ハイブリッドXSターボの内装。
マルチユースフラップを引き伸ばした「オットマンモード」。脚を伸ばせるので、駐車中にリラックスしたいときに使おう。写真はカスタム・ハイブリッドXSターボの内装。    前田惠介

このほかにも、左右独立したセンターアームレストや、スマートフォンやタブレットを立てかけることのできるストッパー、幼児用マグや500mlの紙パックにも対応したドリンクホルダー、テーブル格納時でも使用可能なショッピングフックを備えたパーソナルテーブルなど、車内で快適に過ごすための装備を充実させた。

コロナ禍以降、休憩時に屋外ではなく車内で飲食をするユーザーが圧倒的に増えた。

そして、ドライバーでも飲食時や休憩時にはリアシートに移動してくつろぐ。そんなユーザーの要望に応える、スズキの細かな配慮が新型スペーシアには感じられる。

新たなスーパーハイト像とは?

エクステリアについても紹介していこう。

軽自動車は全長3400×全幅1480mm以下というサイズが決まっており、しかもスーパーハイトワゴンは全高が1800mm前後まで求められる。したがって、そのスタイリングはおおよそ決まってしまうのだが、その中で各社が個性を発揮させたデザインを目指している。

新型スペーシアは、ルーフ部分の幅を広げている。大きくがっしりと見えるリアビューが特徴だ。
新型スペーシアは、ルーフ部分の幅を広げている。大きくがっしりと見えるリアビューが特徴だ。    前田惠介

従来型のスペーシアは「スーツケース」がデザインのモチーフだったが、新型は大容量の「コンテナ」に。

ボディサイド中央には、コンテナを台車に載せたような上下分割した力強いキャラクターラインが入る。その上下を、プレス成形されたビード形状としてコンテナらしさを表現。

技術系の専門用語で「C面取り形状」と呼ぶのだが、カドを45度で削いだような面取り形状を多用して、ビジネスだけでなく趣味にも調和するテイストを表現した。

また、ルーフ幅を広げることで、大きくがっしりと見える造形に。立体感が強調され「コンテナ」らしい雰囲気も漂わせている。

大型リフレクターLEDヘッドランプに立体的なテールランプを採用した標準モデル。薄型LEDヘッドランプとシーケンシャルターンランプにクリアタイプのテールランプを採用したカスタム。このあたりの作り分けもうまい。

装備の進化は? ギアは終売?

パワートレインは、NA車はハスラーなどに採用されるR06D型を新採用。

ターボ車はR06A型をキャリーオーバーしているが、全車マイルドハイブリッドや低転がり抵抗タイヤなどの採用で実燃費を向上した。

スペーシア・カスタム・ハイブリッドXSターボの前席内装。
スペーシア・カスタム・ハイブリッドXSターボの前席内装。    前田惠介

安全装備は、ミリ波レーダーと単眼カメラの組み合わせにより、検知対象を車両、歩行者、自転車、二輪車とし、交差点での検知にも対応した衝突被害軽減ブレーキ「デュアルセンサーブレーキサポートII」をスズキ車で初採用し、全車に標準装備。

電動パーキングブレーキを採用したことで、ACC(全車速追従機能・停止保持機能付き)もほとんどのグレードに標準装備した。

また、寒い日のドライブにはありがたいステアリングヒーターも、スズキの軽としては初めてカスタムの上級グレードに標準装備した。

安全&快適装備とも充実された新型スペーシア。先行するライバルたちの追撃態勢は万全といったところのようだ。

なお、ラインナップは従来型と同様。標準モデルはノンターボのみ、カスタムは上級グレードにターボ車も設定。

また、従来型で人気を集めていたスペーシア・ギアは、とりあえず新型の登場でいったんフェードアウトする。もちろんスズキとしてもその人気も認識しており、近い将来には新型スペーシア・ギアが登場することは間違いなさそうだ。

なお、4ナンバーのスペーシア・ベースは従来型のままで当面は継続販売される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影

    前田惠介

    Keisuke Maeda

    1962年生まれ。はじめて買ったクルマは、ジムニーSJ30F。自動車メーカーのカタログを撮影する会社に5年間勤務。スタジオ撮影のノウハウを会得後独立。自動車関連の撮影のほか、現在、湘南で地元密着型の写真館を営業中。今の愛車はスズキ・ジムニー(JB23)

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