ホンダe:Ny1 詳細データテスト 日常使いはイージー 走りの楽しさは不足気味 ライバルより高価

公開 : 2023.11.11 20:25

走り ★★★★★★☆☆☆☆

ベビーフェイスなe:Ny1に、パフォーマンスを感じさせるところはない。しかし、パワーとトルクは小型クロスオーバーとしてはかなりのもので、発進も中間も期待してしまうだろう。

結論を言えば、どちらも期待通りとはいかなかった。湿った路面ではトラクションに問題があり、80km/h以下でフルスロットルにするとホイールスピンしてしまったのだ。0-100km/hの公称タイムを達成するには、電子制御のローンチコントロールがなかった頃のトルクが太いV12スーパーカーをMTで走らせるのと同じくらいうまく扱うことが求められる。

この手のクルマとしてはまずまず速いが、湿った路面では加速も制動も不足気味なのは、低抵抗タイヤによるところが大きい。
この手のクルマとしてはまずまず速いが、湿った路面では加速も制動も不足気味なのは、低抵抗タイヤによるところが大きい。    JACK HARRISON

0-97km/hのベストタイムは8.6秒と、公称値より1秒ちょっと遅かった。また、急激に出るトルクと経済性重視のコンチネンタル・ウルトラコンタクトの組み合わせは、理想的ではない天候条件で、丁字路を素早く抜けるような場面には不向きだ。

追い越し加速に関しては、48−113km/hの公称タイムは6.9秒で、物足りなさはまったくない。出力的に同等でより重いスコダ・エンヤックは、1秒近く余計にかかる。ドライコンディションでは明らかに、このシャシーがパワーとトルクを適切に路面へ伝えた場合、エキサイティングとは言えないまでも、この手のクルマとしては必要以上の速さが得られる。

全体的にみれば、操縦系は十分に直観的。スロットルペダルの穏やかな入力にはよく考えられたレスポンスを返し、メーカーによっては意図的に組み込んでわれわれをイラつかせる、実際以上に速く感じさせるための過敏な反応はほとんどない。

同じことはブレーキにも言える。エネルギー回生の強さはいくつか選べて、この手のクルマとしてはまずまずのフィールもある。

しかし、数字的にはほめられたものではない。113km/hからのフルブレーキでは、路面が湿っていたものの、停止まで73.1mもかかった。ほぼ同じコンディションでテストしたフォードマスタング・マッハEエクステンデッドレンジは、259kgも重かったが、57.0mで止まったのだが。この結果の分かれ目は、ホンダが低ころがり抵抗タイヤを選んだことにあるといっていいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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