ホンダe:Ny1 詳細データテスト 日常使いはイージー 走りの楽しさは不足気味 ライバルより高価

公開 : 2023.11.11 20:25  更新 : 2023.12.12 21:20

結論 ★★★★★★☆☆☆☆

玉石混交なホンダEに続き、ホンダが投入したe:Ny1は、EV市場の成長分野で、商業的な成功を見込んだモデルだ。小型クロスオーバーというフォーマットを選んだことに、驚きはまったくない。売れ行きはホンダEよりいいだろうが、激しい競争も予想される。

その競争、ホンダは苦戦しそうだ。単体で見れば、e:Ny1はまずまず実用的なファミリー向けEVだ。運転しやすく、ほとんどの場合には付き合いやすい。説得力のあるクルマだ。

結論:魅力的な点はたしかにある。しかし、価格を正当化できる要素はきわめて少ない。
結論:魅力的な点はたしかにある。しかし、価格を正当化できる要素はきわめて少ない。    JACK HARRISON

しかし、同じかそれより低い価格帯のライバルと比較すると、バーサタイルさや長距離移動能力で劣る。最大充電速度が遅いのが原因だ。また、コンパクトカーからスーパーサルーンまで、あらゆるジャンルのEVに期待されるような、走りの楽しさや速さを求めるユーザーには受け入れられないだろう。

ホンダほどイノベイティブなブランドであれば、インテリアの目新しさも重要なポイントとなる。ところがe:Ny1の室内は、外観ほど見栄えがいいわけではない。EV市場におけるホンダの苦戦は、まだ続きそうだ。

担当テスターのアドバイス

リチャード・レーン

走行モードはEconからスポーツまで用意されているが、基本的な走りの違いがエネルギー消費にも反映されてしまう。スポーツモードでは、スロットルペダルの実用ストロークが短くなるのだが、どうしてそういうことにしてしまうのか理解できない。

マット・ソーンダース

専用アプリを使えば、オフピーク電力によってコストを最適化できるよう充電時間が調整できる。電力網のCO2排出量を削減したり、家庭用太陽光発電を最大限利用するのにも有効だ。

オプション追加のアドバイス

装備レベルは良好なので、下位のエレガンスでも上位のアドバンスでも、グレード選びはお好みで。ステアリングホイールヒーターや電動テールゲートが魅力的だと感じるなら、アドバンスをどうぞ。

改善してほしいポイント

・トラクションの問題は修正を。
・最大充電性能の引き上げを。長距離移動も得意なクルマにしてもらいたい。
・ハンドリングにもう少し楽しみがほしい。ホンダなら、そのやり方はわかっているはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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