フォルクスワーゲン・クロストゥーラン
公開 : 2012.12.26 17:14
実はクロストゥーランにおける大掴みの旋回特性は、ゴルフと違ってリヤが徹底的に粘ったりしない前後バランスのとれたもの。後輪が太くなってリヤ優勢方向になって当然なのに、わりとヨーを付けやすいのだ。しかも、フル乗車+荷物というキツい状態では、そのときにリヤの接地荷重が増したことで後輪が粘り、上屋のヨー慣性モーメント肥大を始めとする負荷増に対処できそうな気配も濃厚にある。この基本方針は、3列ものなのにせいぜい3名乗車を中心にセッティングをしたりする国産ミニバンを考えると敬意を払って然るべきではある。だが如何せん、アシ運びの感触が雑に過ぎる。旋回が深くなると外輪が爪先だってエッジライド感が出てしまう。操舵時の前輪横力ゲインの立ち上がりも穏やかならざるもので、その割にステアリングは中立のところで妙に弾性感があってユルい。ゴルフはこうではなかった。タイヤを太くしたために地面上オフセットが初期の理想からは外れてしまっているのかもしない。
このアシの雑さをパワートレインが上塗りする。日本仕様のクロストゥーランは、先代トゥーラン後期からの1.4ℓ直4ツインチャージャーを積む。自然吸気時代の先代は加速力に余裕はなかったから、その差配は理屈としては正しい。だが、このエンジンはスーパーチャージャーの仕事が立ち上がる領域でのトルクデリバリーが暴れる傾向がある。日本の道路では、トルクカーブとギヤリングが微妙にマッチしない印象もあった。基準車も同じパワートレインなのだが、クロストゥーランではその特性がシャシーの粗さと相乗効果を生んで粗っぽさを強調してしまうことが往々にしてあったのだ。
先述のようにトゥーランは悪いミニバンではない。俗っぽく子供っぽい仕立ての国産同類を見切って、価格差を飲み込んで買う意味は十分にある。だが、このクロストゥーランとなると話はちと微妙だ。それは、期待したような、力強く懐が深くなったトゥーランでは残念ながらなかった。粗雑なマッチョ野郎に少し寄ってしまったクルマなのだ。トゥーランを買うなら基準車をお勧めします。
(文・沢村慎太朗 写真・花村英典)
フォルクスワーゲン・クロストゥーラン
| 価格 | 348.0万円 |
| 0-100km/h | 9.8秒 |
| 最高速度 | 194km/h |
| 公称燃費(JC08) | 14.0km/ℓ |
| CO₂排出量 | 166g/km |
| 車両重量 | 1580kg |
| エンジン形式 | 直4DOHCターボ+機械過給, 1389cc |
| エンジン配置 | フロント横置き |
| 駆動方式 | 前輪駆動 |
| 最高出力 | 140ps/5600rpm |
| 最大最大トルク | 22.4kg-m/1250-4000rpm |
| 馬力荷重比 | 88.6ps/t |
| 比出力 | 101ps/ℓ |
| 圧縮比 | 10.0:1 |
| 変速機 | 7段DCT(DSG) |
| 全長 | 3405mm |
| 全幅 | 1800mm |
| 全高 | 1680mm |
| ホイールベース | 2675mm |
| 燃料タンク容量 | 60ℓ |
| 荷室容量 | 695-1989ℓ |
| サスペンション(前) | マクファーソン・ストラット |
| サスペンション(後) | 4リンク |
| ブレーキ(前) | φ312mm Vディスク |
| ブレーキ(後) | φ272mmディスク |
| タイヤ | 215/50R17 |

