「ツインカムのクーペ」を選ぶなら? アルファ・ロメオ2000 GTV x フォード・コルティナ II ロータス(1)

公開 : 2023.12.17 17:45

平凡なモデルの能力を高めたロータス

それ以外の違いは、主に見た目的な部分。わかりやすい変化が、三角形のアルファ・シールドを中央に掲げたフロントグリルに、細いバーが追加されたこと。テールライトも、ひと回り大きい。

ダッシュボードでは、2枚のメイン・メーターの位置が持ち上げられ、確認しやすい。とはいえ、105シリーズの基本的な傑作レシピは13年間守られている。

アルファ・ロメオ2000 GTV(1971〜1976年/英国仕様)
アルファ・ロメオ2000 GTV(1971〜1976年/英国仕様)

直列4気筒エンジンの設計は、鬼才ジュゼッペ・ブッソ氏。ツインカム・ヘッドを載せ、ツインキャブレターで燃料が送られ、多様な排気量へ対応した。

トランスミッションは5速マニュアルで、後輪駆動。サスペンションは、ダブルウィッシュボーン式をフロントへ採用し、リアはリジットアクスルながら、トレーリングアームとコイルスプリングが支えた。ブレーキは前後ともディスクだ。

一般道で精彩な走りを披露し、モータースポーツで活躍できるポテンシャルを備えていた。同時期には、対峙できるライバルは殆ど存在しないほどだった。

その数少ない1台が、コルティナ II ロータスだ。先代の初代フォード・ロータス・コルティナの時代から、モータースポーツで活躍するブランドの力を借り、平凡なモデルの能力を高めることへ成功していた。

当時の欧州では、精鋭ドライバーたちがロータス・コルティナを駆り、サーキットで強さを証明。ベースモデルのイメージも大いに高めた。しかし、特に初期型は生産コストがかさみ、耐久性が高いともいえなかった。

後期型では、アルミ製ボディパネルはスチール製へ置換され、耐久性を向上。生産コストも削られたが、秀でたイメージをロータスが主導していたことは明らかだった。

当然の流れといえたロータス仕様

1966年にコルティナは2代目へモデルチェンジするが、ロータス仕様を擁することは当然の流れだった。コルティナ II ロータスは、1966の晩夏から生産がスタートする。

2代目のスタイリングを手掛けたのは、社内デザイナーだったロイ・ヘインズ氏。コルティナ GTのプラットフォームをベースに、2ドアのボディシェルは強化。ストラットトップとリア・シャシーレールも補強された。

フォード・コルティナ II ロータス(1966〜1970年/英国仕様)
フォード・コルティナ II ロータス(1966〜1970年/英国仕様)

フロントのホイールアーチは、ワイドなタイヤを収めるため拡大。それが挟むエンジンルームには、技術者のハリー・マンディ氏とコスワース社による、ツインカム・ヘッドを載せたケント・ユニットが収まった。

1558ccのスチール製ブロックを備え、キャブレターはツイン・ウェーバー。初代ロータス・コルティナからのキャリーオーバーだったが、最高出力は110psへ僅かに上昇していた。

インテリアは、コルティナ 1600E譲りのステアリングホイールと、専用のタコメーターが組まれること以外、コルティナ GTと目立った違いはない。レッドゾーンは6500rpmから。スピードメーターは、時速140マイル(約225km/h)まで振られた。

フォードは、コルティナ II ロータスに複数のボディカラーを設定。ドラグーン・レッドやシーフォーム・ブルー、スプルース・グリーンなどで、オーナーの個性を表現できた。ロータスから、あえて距離を置くことが狙われていた。

この続きは、アルファ・ロメオ2000 GTV x フォード・コルティナ II ロータス(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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