まだ「思いきった決断」は必要 タイカン級の電動サルーン ニオET7へ試乗 可能性を実感

公開 : 2023.12.28 19:05

タイカン・クラスの電動サルーン、ニオET7 欧州市場でプレゼンスを示せるのか 駆動用バッテリー交換サービスが売りの1つ 英国編集部が評価

駆動用バッテリー交換サービスが売りの1つ

ニオET7は、全長5101mm、全幅1987mm、全高1505mmというサイズを持つ、大型の電動サルーン。まだ日の浅い中国ブランドだが、その可能性をまじまじと実感させる存在だといっていい。

大きな売りとしている機能が、ニオ専用のサービスステーションへクルマを持ち込むと、駆動用バッテリーを丸ごと交換してもらえること。入庫から僅か5分で、フル充電のバッテリーへ積み替えることができるそうだ。

ニオET7(欧州仕様)
ニオET7(欧州仕様)

スタイリングは滑らかで、空力特性が重視される電気自動車らしい。フロントマスクには、ニオへ共通する特徴が与えられている。テールエンドは、アウディに似ているかもしれない。

実車を目前にすると、フロントガラス上部のコブが意外と目立つ。ここに運転支援システムのレーザーセンサー、ライダーが内蔵されており、これもストロングポイント。極めて高度なシステムを実装し、法律が許せば、殆ど自動運転に近い機能を利用できる。

ET7はブランドのフラッグシップ・サルーンで、インテリアにはソフトタッチ加工が隅々まで施されている。ダッシュボードの中央には12.3インチのタッチモニターが据えられ、ほぼすべての車載機能のインターフェイスを担う。

フロントシートには、マッサージ機能を内蔵。ヒーターだけでなく、ベンチレーションも備わる。

ツインモーターで強力 0-100km/h加速3.8秒

ドライバーの正面には、ワイドなメーター用モニター。ヘッドアップ・ディスプレイも標準装備となる。いずれも表示は鮮明で、タッチモニターは反応も素早い。システムは、直感的に扱えると感じた。

ダッシュボード上には、AIアシスタント「ノーミ」の丸いモニターが載っている。クルクル回転し、音声制御システムと連動して表情を変える。運転支援システムやオーディオ、エアコン、サンルーフなどの操作が可能だ。

ニオET7(欧州仕様)
ニオET7(欧州仕様)

動力性能は、ツインモーターでかなり強力。フロントに244psの誘導非同期モーターが載り、リアに407psの永久磁石同期モーターが載っている。

複数のドライブモードが用意され、ステアリングやアクセルレスポンス、エアサスペンションの設定を変更できる。パワーの調整もでき、1番鋭くすると0-100km/h加速を3.8秒でこなすという。効率重視のモードでは前輪駆動になり、12.9秒かかる。

発進加速は、その数字通りなかなかの勢い。1つ下の穏やかなモードを選べば、ビッグサルーンにふさわしい、ジェントルでたくましいパワー感に浸れる。

ブレーキペダルの印象は、回生ブレーキと摩擦ブレーキとの協調がうまく取れておらず、若干の不安定感が伴う。それでも、制動力自体にまったく不足はない。航続距離は579kmがうたわれるが、現実的な能力は測れていない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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