クルマ漬けの毎日から

2022.02.03

1年前、ジャガーはEV専門のブランドになると発表しました。しかし、それ以後ジャガーの将来に関する情報は、何も公表されていません。クロプリー編集長は心配しています。

【クロプリー編集長コラム】ジャガーの将来モデル、今どうなっているのか?

もくじ

過去1年 発表なし
今 ジャガーがすべきこと

translation:Kaoru Kojima(小島 薫)

過去1年 発表なし

私はジャガーのことを心配している。

AUTOCARがジャガーの最新コンセプトカー(上の画像)について報道してから、すでに1年が経過している。しかも、そのコンセプトカーは、ゲームソフト用のバーチャルなレーシングカーにすぎない。

また、ティエリー・ボロレCEOが2025年計画を策定し、ジャガーをEV専門のブランドとして再確立すると発表してからも、1年になる。

だがその後、この事業計画「リイマジン(Reimagine)」については、何も情報がない。

ジャガー・ビジョン・グランツーリスモSV

前回の会見から長い月日が経ったのだから、ジャガーの優秀で断固とした決意を持つリーダーは表舞台に登場し、この計画について何か情報を提供するのが理にかなっていると思う。

だが、そういう機会は設けられていない。それどころか、進捗状況を説明する短いコメントすらない。ジャガーの活動を唯一感じられるのは、販売部門の人たちだけだ。

彼らは手持ちのクルマを懸命になって販売している。だが、ご存じのように、現在の主力モデルはやがて販売できなくなる(イギリスでは2030年からガソリン/ディーゼルの新車販売は禁止)。

今 ジャガーがすべきこと

また、ジャガーではこの1年のあいだに、デザイン部門の名の知れたリーダー(複数)が会社を去るという出来事も起きている。

むろん、JRLチーフ・クリエイティブ・オフィサーのジェリー・マクガバンは、デザイン部門を監督しているし、彼が素晴らしいデザイナーであることは、ランドローバーを成功に導いたことで実証されている。

しかし、マクガバンが、新時代のジャガーがどうあるべきかを理解しているという証拠は何もない。

ジャガーCEOのティエリー・ボロレ氏。ジャガーはEV専門ブランドになると1年前に発表。

もし私がジャガーの責任者ならば、不可解で謎めいた状況を楽しむことはやめ、長年我慢強くジャガーを愛し続けてきた人たちを安心させる行動を即座に開始する。そして、ジャガーは健在だと伝えるだろう(これまで何度も、ジャガーはヘリテージと未来を結ぶことに苦労してきたから)。

いまジャガーは、未知の領域に足を踏み入れている。

ジャガーという会社と、その未来について信頼を回復するために、これまでになく上手くコミュニケーションをとっていく必要がある。それも一刻も早く。

記事に関わった人々

  • スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。

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