【オーリンズ製ダンパーの本気】ボルボV60 ポールスター・エンジニアード試乗

公開 : 2019.12.20 09:50

世界最高峰のサスペンションを備えたスウェーデン製高速ワゴンが、V60のポールスター・エンジニアード。見た目のハンサムさだけでなく、走りでもドイツ勢のライバルに迫ります。英国で評価しました。

ブレンボ製ブレーキにオーリンズ製ダンパー

text:Richard Lane(リチャード・レーン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)

 
最近、ポールスターという名前を良く耳にすると感じる読者も多いだろう。

ポールスターは、ボルボに属する独立した子会社。609psを発生させる500台限定のPHEVクーペ、ポールスター1の発売も迫っている。3基の電気モーターを備え、アールデコ調とバウハウス調を組み合わせたような端正なボディデザインは、未来感が漂う。先日試乗記も掲載させていただいた。

ボルボV60 T8ツインエンジン・ポールスター・エンジニアード
ボルボV60 T8ツインエンジン・ポールスター・エンジニアード

向こうは14万ポンド(1960万円)だから身近な存在ではないかもしれないが、ポールスター・エンジニアードという存在もある。これは昨年デビューしたボルボのクルマに与えられるトリムグレードとなる。

アメリカで生産されるサルーン、ボルボS60 T8ツインエンジンに加えて、今回ステーションワゴンのV60とクロスオーバーのXC60にも設定された。しかし単にトリムグレードとはひと括りにできない内容が与えられている。

専用のソフトウエアによって、385psのPHEVパワートレインが410psに増強されているだけではない。S60とV60には、ブレンボ製のスリット入りブレーキディスクと金色のブレーキキャリパーを装備。XC60の方は日本の曙ブレーキ製となる。ちなみにマクラーレンP1のブレーキも曙ブレーキだった。

エンジンルームには、ステアリングレスポンスを向上させるために、ボディ剛性を高めるアルミ製のストラットブレースを装備。アイシン製の8速ATもアップデートを受け、シフトアップが高速化されている。

スタイリングは特別仕様の存在感

ボディトリムは光沢のある黒で統一され、ダーククロームのマフラーカッターが付く。鍛造アルミホイールはシャープなデザインになり、シートベルトは金色。V60のポールスター・エンジニアードは、それらを見事に調和させ、特別な存在感を放つ。従来のボルボなら考えられなかった出で立ちかもしれない。

一番の注目ポイントは、調整式のデュアルフローバルブを持つオーリンズ製のダンパー。スウェーデン生まれのサスペンション界のスーパースターだ。アダプティブではなく、調整式であるところが見逃せない。

ボルボV60 T8ツインエンジン・ポールスター・エンジニアード
ボルボV60 T8ツインエンジン・ポールスター・エンジニアード

通常のアダプティブダンパーなら、トランスミッション・トンネルに配されたモードボタンを押すだけ。だがポールスター・エンジニアードの場合、フロントはボンネットを開けて金色の調整ダイヤルを回す必要がある。簡単な作業だ。

だがリアサスペンションの場合、ジャッキアップしてプロテクターを外さなければ無理。面倒に感じるかもしれない。

通常、調整式ダンパーといえば、メルセデスAMG GT Rプロのようなサーキット走行前提のモデルに用いられることが多い。PHEVのエステートに装備されているのは、ケーターハム・スーパーセブンにチャイルドシートが付いているようなもの。少し不思議に思える。

今回は、このオーリンズを中心に確かめていこう。すでにT8ツインエンジンの基本構成については何度も触れている。横置きの2.0L 4気筒ターボエンジンがフロントタイヤを駆動し、独立した電気モーターがリアタイヤを駆動している。

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