チャイルドシート間違い使用、5割強 急ブレーキで転がり落ちる危険も 正しい着用方法は

公開 : 2019.09.08 06:00  更新 : 2021.06.17 22:05

チャイルドシート調査の最新データによると、間違った使用が5割強。どのような間違い多く、何が正しいかを加藤久美子がまとめました。大人に託された、子どもの安全を願って。

法制化されて19年が経過したけれど……

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

2002年から毎年、JAFと警察庁によって行われている「チャイルドシート全国使用状況調査」の最新データが8月下旬に公開された。

これによると、使用率は調査開始以来、初めて7割を超えて70.5%となったが、取り付け状況や着座状況はいずれも半数以上がミスユース(間違い使用)であることがわかった。

使用状況調査結果(使用率の経年推移:年齢層別) 出展:JAF
使用状況調査結果(使用率の経年推移:年齢層別) 出展:JAF    JAF

チャイルドシートは正しく取り付けて、正しく座らせることで初めて100%の安全性能を発揮するのだが……。

チャイルドシートに関するJAFと警察庁による例年の調査は、2019年に使用状況(車内に乳幼児用チャイルドシートがあるかどうか? をチェック)が初めて7割を超えたが、それでも1歳未満でまだ9割に届かない状況だ。

5歳は5割以下と相変わらず低いが、それでも過去最低の25%(2007年)に比べれば2倍近い数字となっている。

欧米の先進国に比べると使用率はまだまだ低レベルで、取り付け状況のミスユースも乳幼児合計で52.4%もある。

主に腰ベルトの締め付け不足など、車両シートにチャイルドシートが確実に固定されていないことが原因だ。

使用率や正しい取り付け率が低いことはもちろん大きな問題だが、チャイルドシート指導員資格(一般財団法人日本交通安全教育普及協会認定)を持つ筆者が一番問題視しているのは、チャイルドシートを使っているが子どもの着座状況が間違っている、「着座」に関わるミスユースである。

くわしい調査結果を見てみよう。

「ハーネス」の間違い、断トツに多く

着座状況調査結果一覧を見ると、ミスユースは幼児用が突出して多く67.1%。チャイルドシートを使っているつもりでも、全体で6割近くがミスユースという結果だ。

せっかくチャイルドシートを使っていてもミスユーズがあると全く効果が発揮できないことも少なくない。

用途別シート、ミスユースの代表例。 出展:JAF
用途別シート、ミスユースの代表例。 出展:JAF    JAF

そのミスユースの中で最も多いのが乳児/幼児の中ではハーネスの不正使用によるものがほとんどだ。

さらにその中でも断トツに多いのが、「ハーネスの締め付け不適正」。これは、ハーネスがユルユルの状態を示している。

学童用(ジュニアシート)における着座時のミスユースについても紹介しておこう。ジュニアシートにおけるミスユース1位は「体格不適合」が4割近くだ。

これはジュニアシートに子どもの体の大きさが合っていないということ。ほとんどは、「まだ体が小さい(=幼児用の使用が適切)のに学童用ジュニアシートを使っている」と考えられる。

ジュニアシートは3歳から使えるものも多いが、3〜4歳の小さな体をホールドするには、頭から肩回りのガードと背もたれが付いたフルバケットタイプがマスト。

また、3歳になったらジュニアと年齢で考えるのではなく、子どもの体重や身長を考慮して正しい選択をしてほしい。

一般的な傾向として、親は我が子に対して、早め早めに上のクラスのシートを使いたがるものだが、3〜4歳で「座面だけのブースターシート」は体格不適合。

乳児用→幼児用、幼児用→学童用と上のクラスに移動するには、十分に体が成長してからが安全だ。

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