【ライバル数値比較】BMW M8グランクーペ、出力/速度/価格で勝ち目は? AMG GT/パナメーラ/ラピードなど比較

公開 : 2020.02.03 18:57  更新 : 2021.10.11 09:30

BMW M8グランクーペが登場して再び注目されるカテゴリーとなったのが4ドアのスポーツカーです。M8グランクーペのライバルたちの歴史を振り返るとともに、パフォーマンスの比較を行ってみました。

激戦区となった4ドアのスポーツカー

text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)

ここにきて4ドアのスポーツカーというカテゴリーに新型車が増えている。

量産サルーンを高性能化したスーパーサルーンとは異なり、4枚のドアを備えるスタイリッシュな専用のボディの内にスポーツカーと呼ぶにふさわしいパフォーマンスを備える特別なモデルなのである。

BMW M8グランクーペ
BMW M8グランクーペ

その起源は1963年に登場したマセラティクアトロポルテで、長らく孤高の存在で知る人ぞ知るクルマであった。

潮目が変わったのはフェラーリ製エンジンを積む5代目が2003年に送り出されてからだ。

エクステリア・デサインは当時ピニンファリーナに在籍していた奥山清行氏によるもので、クラシコ・イタリアーノをテーマとした独創的なスタイリングが注目を集め一躍メジャーな存在となり、4ドアのスポーツカーが市民権を得た時でもあった。

クアトロポルテの成功を受け、真っ先に動いたのが、同じ立ち位置にあるポルシェだった。

真っ先にポルシェが動く 翌年にはアストンも

カイエンでの成功に続き911オーナーを自社ブランド内に留めるための4ドアのスポーツカーとして2009年に送り出されたのがポルシェ・パナメーラである。ポルシェ自身も「日常的な利便性を何ひとつ犠牲にしていないスポーツカー」と謳っていた。

翌2010年になるとアストン マーティンからラピードが送り出され、それぞれの国を象徴する3モデルが揃い、エンスージァストから好評をもって受け入れられた。

アスト マーティン・ラピードAMR
アスト マーティン・ラピードAMR

2019年には最終モデルとして603psを発揮し最高速度は330km/hをマークするAMR仕様が登場し注目を集めた。

このあとは世界的なSUVブームがプレミアム・クラスにも波及して、各メーカーは舵をそちらに向けて切ったこともあり4ドアのスポーツカーは一段落したかに見えた。

その均衡を破ったのがメルセデス・ベンツだった。

メルセデス・ベンツからAMG GT 4ドア

以前から量産サルーンをベースに高性能化したAMGのSクラスEクラスを送り出し、4ドアのスポーツカー達と競い合っていた。

そのAMGが満を持して送り出したのが専用ボディを持つAMG GT 4ドアクーペである。

メルセデスAMG GT 63S
メルセデスAMG GT 63S

2018年3月のジュネーブ・モーターショーでワールド・プレミアされ、2019年2月から日本に導入されている。

ここで注目したいのがボディ形状だ。

クアトロポルテは独立したトランクを持つ4ドアというオーソドックスなスタイルだったが、パナメーラ、ラピードはファストバック・スタイルの5ドアハッチバックが採用され、AMG GT 4ドアクーペもこのスタイルを踏襲したことから4ドア・スポーツカーの定型が固まったかと思われた。

メルセデス・ベンツに続いて同様にフルラインナップ化を目指すBMWも遂に4ドア・スポーツカーのカテゴリーにM8グランクーペを送り込む。

こうして大メーカーが参入したことにより激戦区の様相を呈してきた。

M8グランクーペのスタイリングはファストバックではなくクーペ・スタイルとされ、ボディ剛性と静粛性を高めるためにトランクを独立させた点に注目したい。

記事に関わった人々

  • 上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

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