カングーやベルランゴに劣らぬ実力 フォード・トルネオ・クーリエへ試乗 数字以上にキビキビ走る

公開 : 2024.01.28 19:05

数字以上にキビキビ 想像以上に運転が楽しい

シンク4と呼ばれる、インフォテインメント・システムは優秀。表示されるアイコンは大きく、反応は素早く、ショートカットキーも便利。メニュー構造も覚えやすい。アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、無線で対応する。

英国仕様では、カーナビ機能とアダプティブ・クルーズコントロール、フロント・パーキングセンサー、合成皮革巻きのステアリングホイール、電動ミラーなどはオプション。一式で、960ポンド(約18万円)のパッケージになっている。

フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)
フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)

確認を終えて発進させると、トルネオ・クーリエは想像以上に運転が楽しい。印象としては、クロスオーバーのプーマに似ている。最高出力は124psで、0-100km/h加速は13.0秒かかるものの、数字以上にキビキビとしている。

少し唐突に繋がるクラッチへ慣れれば、6速MTの印象も素晴らしい。小気味よく次のギアを選べる。7速ATは、アクセルペダルを緩めると積極的にシフトアップする傾向があり、速めに山道を走らせる場面ではギクシャクしがち。しかし、全般的には滑らかだ。

なお、商用車仕様も存在し、そちらには100psの1.0L 3気筒ガソリンターボか、100psの1.5L 4気筒ディーゼルターボが載る。短時間ながらディーゼルターボを試乗したが、これも充分力強い。トルクが太く、250kgの荷物を載せた状態で快適に運転できた。

コスパ高し 好ましい選択肢が追加

乗り心地はカーブでも落ち着きがあり、手応えの良いステアリングホイールへ、優れたグリップ感が伝わってくる。軽快な運転を、しっかり支えている。大きなドアミラーと高いルーフで、風切り音は聞こえるものの、高速道路でも騒がしいとは感じなかった。

試乗したルートでは、運転支援システムを充分に試せなかったが、フォードの他モデルと同様に仕事ぶりは優秀といえそうだ。車線維持支援システムと速度制限警告システムは、ボタンを押せばオフにできる。

フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)
フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)

生産が終了したフィエスタを補完するモデルになるという噂もあったが、英国価格はお高め。2万5865ポンド(約481万円)からで、直接置き換えることは難しいだろう。

だが、実用性の高さを考えれば、納得できる設定といえる。装備で劣るベルランゴより、コスパは良い。

7シーターのダチア・ジョガーという強敵が、欧州にはいる。そちらはトップグレードでも2万595ポンド(約383万円)からだが、高速道路での洗練性や運転支援システム、リアシートの広さなどを考えると、トルネオ・クーリエの価格にはうなずけると思う。

内装の質感はいまひとつで、使い勝手ではライバルへ多少及ばないかもしれない。しかし、車内空間は充分に広く、運転体験は褒められる。英国では、内燃エンジンで走るベルランゴや、ルノーカングーを選べない。好ましい選択肢が増えたことを喜ぼう。

◯:プーマに似た運転体験 広大な車内空間 快適なシート
△:安っぽく感じる内装 サブメニュー内のエアコンのインターフェイス インテリアの使い勝手

フォード・トルネオ・クーリエ・チタニウム(英国仕様)のスペック

英国価格:2万5865ポンド(約481万円)
全長:4337mm
全幅:1800mm
全高:1827mm
最高速度:175km/h
0-100km/h加速:13.0秒
燃費:14.9km/L
CO2排出量:152g/km
車両重量:1517kg
パワートレイン:直列3気筒998cc ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:124ps/6000rpm
最大トルク:33.5kg-m/1750-2500rpm
ギアボックス:6速マニュアル/7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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