ボルボXC60 アルティメットB5 AWD 少しずつ進む電動化への過程 新時代のボルボらしさを実感

公開 : 2024.02.05 17:45

北欧らしいイイモノ感とは?

ボルボXC60の動的質感は、ジャーナリスト泣かせな部分があるかもしれない。

メルセデスのように中身がぎゅっと詰まった質感によって訴えかけてくるわけではなく、アルファ・ロメオのようにターボの炸裂とハンドリングで感化されるわけでもない。国産のハイブリッドモデルのようにパワートレインの妙だけを強調してくるわけでもないのだ。

ボルボXC60 アルティメットB5 AWD
ボルボXC60 アルティメットB5 AWD

スウェーデンではないけれど、かつて訪ねたフィンランドで食べたお酢が効いた料理の数々。ご飯には合わないけれど、それだけですっきりとヘルシーに完結する食事の感覚なのかもしれない。よくある外食のようにガツンと舌と胃に来ないから、飽きも来ない。

今回のXC60もそう、一言で言うとすっきりとしている。ボルボSPAプラットフォームは登場以来少しずつフロアまわりの微振動が減ってきて、MY2024ではいよいよあらゆる入力がきれいに減衰する完成形になっていた。T6に比べリアの駆動トルクが主張しないB5 AWDの設定もすっきり感につながっている。

通常スタッドレスを履いていると音振関係やハンドリングともに不利なはずなのに、ドライの高速道路で飛ばしてもフラットな挙動を崩さなかった。OEMタイヤのチューニングに凝り過ぎたモデルではこうはいかない。

以前、現行のXC90からはじまる新世代ボルボは商品性こそ高いが、昔からファンが愛してきた質実剛健なボルボとは少し違う、と感じていた。確かに昔とは色々な意味で違っている。

けれどいつまでも飽きがこない優れた道具という立ち位置、北欧らしいイイモノ感は全く変わっていない。それが今回の「長距離走」×2で得られた実感である。

試乗車のスペック

価格:839万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4710×1900×1660mm
燃料消費率:12.2km/L(WLTC)
駆動方式:AWD
車両重量:1900kg
パワートレイン:直列4気筒DOHC 1968cc+ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:250ps/5400~5700rpm
最大トルク:35.7kg-m/1800~4800rpm
電気モーター:交流同期電動機
定格出力:6.1kW
定格電圧:48V
電動機最高出力:8.5kW/3000~8000rpm
電動機最大トルク:2.96kg-m/2250rpm
駆動用バッテリー:リチウムイオン電池
駆動用バッテリー電圧:46.2V
駆動用バッテリー容量:8Ah
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:235/55R19(フロント)235/55R19(リア)

ボルボXC60 アルティメットB5 AWD
ボルボXC60 アルティメットB5 AWD

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

関連テーマ

おすすめ記事

 

ボルボ XC60の人気画像