英アストン 新型ヴァンテージ発表、4.0L V8は665馬力に インテリアも刷新

公開 : 2024.02.12 18:05

英国の名門アストン マーティンがスポーツカー「ヴァンテージ」の改良新型を発表、4.0L V8ツインターボの最高出力は665psに上昇。シャシーも大幅強化され、インテリアは物理スイッチを残しながらリフレッシュ。

2018年生産開始以来初の大型アップデート

英国の自動車メーカーであるアストン マーティンは、スポーツカーヴァンテージの改良新型を発表した。現行型より大幅にパワーアップし、「ドライバーにフォーカスした最速のヴァンテージ」とされている。

表面上のデザインに大きな違いはないが、今回の改良で重要なのは、エンジンの強化である。メルセデスAMG製4.0L V8ツインターボは最高出力665ps、最大トルク81.5kg-mに引き上げられた。

アストン マーティン・ヴァンテージ
アストン マーティン・ヴァンテージ    アストン マーティン

その結果、0-100km/h加速は3.5秒、最高速度325km/hとなった。参考までに、現行のV8ヴァンテージは510psと70kg-mを発生し、0-100km/h加速は約4秒、最高速度は315km/hである。

新設計のカム(プロファイル変更)の採用、圧縮比の調整、冷却性能の改善(新しい下部ラジエーターと2つの補助クーラーを装備)、そしてターボチャージャーの大型化により、このようなパワーアップを実現した。また、エンジン音も「より本能的」な響きを持つようになったという。

さらに、ZF製8速ATのレシオとキャリブレーションを調整し、「よりパンチの効いた」加速と、シフトチェンジの高速化を図った。

剛性強化でハンドリングも向上

アルミニウム製シャシーも大幅な改良が施されている。例えば、フロントクロスメンバーは後方に移され、フロントサスペンションのマウントポイントの剛性を高めた。エンジンベイブレースも軽量化と剛性アップに成功したという。

また、補強材の追加と新しいアンダートレイによってリアエンドの負荷時の剛性が最大29%向上するなど、全体的な改良によってハンドリングのバランス、ドライバーへのフィードバック、洗練性が高まったとしている。

アストン マーティン・ヴァンテージ
アストン マーティン・ヴァンテージ    アストン マーティン

アダプティブダンパーも一新され、シャシー全体に力を分散させる能力が向上し、「コントロールの幅とレスポンスの速さが格段に向上」している。ステアリング・コラムとラックとの接続部からはゴム素材が取り除かれ、ステアリング入力に対して「よりダイレクトで途切れることのない」反応が得られる。

「強度や美観を損なうことなく、余分な質量を1グラムでも取り除く」ように設計されたという21インチ鍛造アルミホイールには、専用のミシュラン・パイロット・スポーツS 5タイヤが装着される。

こうしたハード面での改良を支えるのが、新しいスタビリティ・コントロール・システムである。ロール(左右傾斜)、ピッチ(前後傾斜)、ヨー(左右旋回)に加え、サージ(前後移動)、ヒーブ(上下移動)、スウェイ(左右移動)の6軸の動きを測定し、それに応じてESPを介入させるものだ。

アストン マーティンの最高技術責任者であるロベルト・フェデリ氏は、改良新型ヴァンテージは「現行型よりもパワーとトルクが大幅に向上した」としながらも、「エンスージアストや純粋主義者を魅了するのは、このような絶大なパフォーマンスをいかに鮮やかに発揮するかである」と述べた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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