【軽トラの盗難が激増!】 軽トラがスカイラインより多く盗まれている事実 背景を調べてみた

公開 : 2024.03.03 06:25  更新 : 2024.03.03 09:32

警察庁3月1日発表の最新「車名別盗難台数の状況」で、キャリイ/ハイゼットがそれぞれスカイラインよりも多く盗まれていることが判明。2021年からの3年間で見ても軽トラの盗難が激増。早速背景を確認します。

令和5年は軽トラ盗難がスカイラインよりも多い!

警察庁が2024年3月1日に発表した「車名別盗難台数の状況」によると、2023年はキャリイ、ハイゼットがそれぞれスカイラインよりも多く盗まれていることがわかった。

警察庁が毎年出していた車名別盗難台数のランキングは長年1~5位のみの発表でしかも大々的に発表するのではなく『自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム』(2022年12月末でサイトを閉鎖)のトップページ上でひっそりと更新されていた。

軽トラの盗難が激増!
軽トラの盗難が激増!

それが10位まで公表されるようになったのは2023年6月からだ。5位~10位まで公開されたことで、トヨタレクサスだけではなく軽トラやスカイライン盗難の実態が明らかになったのである。

このデータは2021年分から公開されているので過去3年分のランキングをお伝えする。

警察庁生活安全課調べ

2021年

1位 ランドクルーザー 532台
2位 プリウス 463台
3位 レクサスLX 302台
4位 アルファード 292台
5位 ハイエース 250台
6位 レクサスRX 125台
7位 ハイゼット 117台
8位 クラウン 82台
9位 キャリイ 75台
10位 スカイライン 63台

2022年

1位 ランドクルーザー 710台
2位 プリウス 477台
3位 レクサスLX 344台
4位 アルファード 330台
5位 レクサスRX 188台
6位 クラウン139台
7位 ハイエース 134台
8位 キャリイ 122台
9位 スカイライン 116台
10位 ハイゼット95台

2023年

1位 アルファード 700台
2位 ランドクルーザー 643台
3位 プリウス 428台
4位 レクサスLX 261台
5位 ハイエース 187台
6位 キャリイ 115台
7位 ハイゼット 107台
8位 レクサスRX 88台
9位 クラウン 81台
10位 レクサスLS/スカイライン 71台

盗まれやすい軽トラ キーをつけたまま農道放置も?

こうしてみると、2021年からの3年間だけでも軽トラの盗難が激増していることがわかる。

2021年にキャリイが75台だったのが2022年には122台、同時にハイゼットの95台も10位にランクインしている。2023年にはキャリイとハイゼットが6~7位にランクインしており、レクサスRXやスカイラインを抜いている。

軽トラの盗難が激増!
軽トラの盗難が激増!

全般的にみて、レクサスが減ったのに代わって、アルファードと軽トラの盗難台数が増えている状況だ。旧車盗難の代表的存在はスカイラインGT-R(R32/33/34)も2023年は大幅に減っている。これだけ世間で盗難多発が騒がれていることもあって、スカイラインのオーナーたちも効果的な防盗対策を講じ始めたのだろう。

軽トラ盗難が近年、急増している理由は主に以下が考えられる

1.旧車スポーツカーと同様、北米やオーストラリアを中心に海外での人気が高く需要が増えている。
2.軽トラオーナーは高齢者が多く、SNSに盗難情報を上げることはほとんどなく軽トラ盗難の実態が伝わりにくい。
3.2にも関係するが軽トラが盗難されやすいという認識がないためオーナー側の対策もほぼ皆無。
4.農道や林道、漁港などにキーを付けたまま置かれることも多く窃盗グループにとって最高に盗みやすい環境。
5.解体が簡単でバラして密輸がやりやすい。

このようなことが理由だろう。なお、オーストラリアでの需要が高まっている件だが、2017年10月にGMホールデンが工場を閉鎖したことでオーストラリアの自動車生産が終了。そこで中古車輸入のルールが劇的に緩和された。2018年以降は1万2000豪ドルの特別関税も撤廃され、輸入できる車種も豊富に選べるようになった。

それで日本の軽トラックも輸入解禁となり、オーストラリアで軽トラックの需要が一気に高まったのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    加藤久美子

    Kumiko Kato

    「クルマで悲しい目にあった人の声を伝えたい」という思いから、盗難/詐欺/横領/交通事故など物騒なテーマの執筆が近年は急増中。自動車メディア以外ではFRIDAY他週刊誌にも多数寄稿。現在の愛車は27万km走行、1998年登録のアルファ・ロメオ916スパイダー。クルマ英才教育を施してきた息子がおなかにいる時からの愛車で思い出が多すぎて手放せないのが悩み。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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