【潮流と官能性の行方】 マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ 内燃機のトップモデル

公開 : 2024.03.08 17:45

走りも価格も、図抜けたプレミアム

実際に走り出してみると、新型グラントゥーリズモのラグジュアリーな印象がさらに深みを増した。

550ps版のネットゥーノはMC20に搭載されている630ps版とは性格付けが大きく異なっており、高回転時の拍車がかかる感じが希薄なかわりにターボのツキが滑らかで低速トルクが豊かに感じられる。

マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ
マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ

スロットルを深く踏み込んだ際の加速感も8速ATのギア比が高めに設定されているような伸びやかさがあり、クルマ全体の落ち着き具合とうまく符合している。

モニターにAWDの前後トルク配分を表示できるのだが、普通に走らせる限り前1/後9くらいの割合だった。このため前輪は操舵、後輪は駆動というFRらしいすっきりとしたドライブフィールが保たれているのである。

またエアサスを装備した足回りも秀逸で、短めのストロークの中できれいに路面からの入力を収束させているし、全般的に室内が静かな点も素晴らしい。例えば先代は若干プラットフォームを拡大使用し過ぎたような粗さがあり、良く言えばそれがフォーマルかつ攻撃的なマセラティらしさに繋がっていた。

だが新型は骨格の強さが完全に先行しており、 “図抜けたプレミアムカー”といっていい仕上がりだったのである。

試乗の後、その価格を知って驚いてしまった。先代の最終モデルが2200万円ほどだったのに対し、490ps版のモデナは2444万円、そして今回のトロフェオは2998万円+200万円のオプションだった(!)クルマの仕上がりと為替を考えれば当然? それにしてもマセラティらしい贅沢な1台だったのである。

試乗車のスペック

価格:2998万円(税込 オプションなし)
全長×全幅×全高:4965×1955×1410mm
最高速度:320km/h
0-100km/h加速:3.5秒
駆動方式:AWD
車両重量:1870kg
パワートレイン:v型6気筒DOHC2992cc+ツインターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:550ps/6500rpm
最大トルク:66.28kg-m/2500rpm
ギアボックス:8速オートマティック
タイヤサイズ:265/30ZR20(フロント)295/30ZR21(リア)

マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ
マセラティ・グラントゥーリズモ・トロフェオ

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    1986年生まれ。クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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