内燃アルファ・ロメオの「金字塔」! ジュリア・クアドリフォリオへ試乗 2.9L V6はフェラーリから着想

公開 : 2024.03.26 19:05

運転姿勢に違和感なし パドルで一層活気づく

運転姿勢は、右ハンドルでも違和感なし。メーターパネルへ正対して座れ、身長にも大きく影響されない。ステアリングホイールは、大きさも手元へのリーチもバッチリ。丸く握りやすい。

インフォテインメント・システムは、ベストとはいえないが、時間が経過すれば気にならなくなる。タッチモニターは充分な大きさで、ロータリー・コントローラーが用意され、スマートフォンと連携可能。これ以上、必要はないだろう。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

内装の素材は高品質。ステッチの施されたレザーに、艶のあるカーボン製化粧トリムで仕立てられる。金属とは見間違えない、プラスティック製部品も存在し、最新のドイツ水準というわけではないけれど。

リアシートは実用に耐える広さ。クアドリフォリオだから、大目に見れるだろう。そうそう、エアコンには実際に押せるハードボタンが用意されている。

インテリアの僅かな弱点を忘れさせるのが、白眉のV6エンジン。アイドリング時から勇ましく、沢山の空気を吸っている様子をうかがわせる。「DNA」ドライブモードをダイナミックへ切り替えると、排気音の迫力が増す。

同時に、アクセルレスポンスは鋭敏に。8速ATは、速さ優先でギアを選ぶようになる。ハーフスロットル時は、変速に悩む場面もあるものの、基本的に不満ない仕事をする。

積極的に運転したい気分なら、ステアリングコラムから伸びるパドルを弾くのがベター。有能なトルクコンバーターが、タイトで滑らかにギアを切り替え、クアドリフォリオは一層活気づく。

センセーショナルな動的能力と操縦性

V6エンジンのターボラグは、3000rpm以上でほぼ消え、熱狂的に7300rpmまで吹け上がる。BMWの直列6気筒以上に魅力的なサウンドを伴う。2017年の計測では、大人2名が乗車した状態で、0-100km/h加速を4.0秒以下でこなしてみせた。

動的能力や操縦性は、未だにセンセーショナル。まず乗り心地が素晴らしい。柔らかすぎず、硬すぎず、姿勢制御は非の打ち所がない。これほどの器用さを叶えたモデルは、このクラスには他に存在しない。フェラーリロータスが作ったサルーンのようだ。

アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオ(英国仕様)

アダプティブダンパーは個別に硬さを調整でき、エンジンをアグレッシブにしても、しなやかさを保てる。英国の一般道で味わう場合は、ソフト側の状態が好適。最もハードでも、我慢を強いるほどではないが。

ステアリングは、ロックトゥロック2.25回転とクイックだが、ナーバスさは皆無。ステアリングホイールには、路面からの情報がしっかり伝わってくる。

シャシーのバランスも素晴らしい。前後の重量配分はほぼ均等といえ、フロントタイヤへ過度に荷重がかかることはない。リアタイヤは、豊かなパワーをしっかり路面へ展開してくれる。

ブレーキペダルの感触は、改善を求めたい数少ない部分。制動力は間違いないが、停止する直前など、ペダルを踏む強さを読みにくい場面がある。

リミテッドスリップ・デフを得たことで、コーナリングは一層正確性を増した。加速しながら脱出するような場面で、より速く、より鮮明だ。トラクションは、ドライなら不足なし。ウェットでは足りなくなるが、概ね落ち着いている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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