「とてつもない」有能ワゴン アルピナD3 S ツーリング 長期テスト(最終) ホームのドイツで極上体験

公開 : 2024.04.06 09:45

ホームグラウンドのドイツで極上体験

D3 S ツーリングは、ドイツの滑らかなアウトバーンなら、270km/hでの疾走も快適にこなす。国内線の飛行機に乗る手間を省くために開発された、高性能ステーションワゴンだ。そもそも、英国の管理状態の悪い舗装を想定はしていない。

とある新モデルへの試乗が目的で向かった、ホームグラウンドといえるドイツでは、極上体験を与えてくれた。ニュルブルクリンク・サーキット方面へ伸びるアウトバーンには、速度制限のない区間がある。

アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)
アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)

追い越し車線を250km/hで巡航しても、安定感は揺るぎない。遅い車両が視界に入ったら、一切の不安なしに速度を調整できる。そして、250km/hへ歯切れよく加速する。こんな走り方でも、燃費は平均で14.0km/L。圧巻の能力をまじまじと実感した。

陸上での長距離移動を、最小限に休憩を抑えつつ、最短時間でこなしたいなら、アルピナは最適だろう。どんな例より、理想的なモデルといえる。

やっぱりアルピナは、とてつもない

ドイツ以外の環境でも、D3 S ツーリングは素晴らしかった。フロントに大きなディーゼルエンジンを積み、車重は2020kgもあるが、その能力を最大限に引き出す方法を理解する、BMWとアルピナの技術によって生み出されている。

グレートブリテン島を走るなら、タイヤの空気圧は2.8barから2.4barへ落とした方が良いだろう。この空気圧なら、乗り心地の落ち着きは多少向上する。ステアリングのレスポンスも、僅かに下るのだが。ホイールへのダメージは、注意深く避けなければならない。

アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)
アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)

シートは非常に快適。ダッシュボードなど、インターフェースのデザインも望ましい。ロータリー・コントローラーのほか、沢山のハードボタンが、運転中でも手の届きやすいポジションにレイアウトされている。

今回の長期テストでは、1万4500kmほど走行距離を伸ばした。アドブルーを1度補充したものの、エンジンオイルの補充は不要だった。平均燃費は17.5km/Lと、見事な数字を残してくれた。

最後まで、ストレスフリーだったといっていい。強いていえば、魅力のあまり、キーが自分の手元へあった時間が少なかったことくらい。やっぱりアルピナは、とてつもない。

セカンドオピニオ

正直なところ、自分はD3 S ツーリングへそこまで感動はしなかった。すこぶる速く安定していて、実用的ではあるものの、乗り心地は少々荒っぽい。

BMW M340dとの、明確な違いも感じられなかった。比較のため、B3 ツーリングを試乗してみたいと思った。 フェリックス・ペイジ(Felix Page)

アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)
アルピナD3 S ツーリング(英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    英国編集部エディター・アト・ラージ
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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