三菱トライトンGSR ラリー場外でもトヨタ・ハイラックスに真っ向勝負へ 6代目の新型に試乗

公開 : 2024.03.31 20:05

日本に上陸したばかりの「三菱トライトンGSR」に試乗しました。年間20万台というグローバルでは売れセンなトライトン。母国で市場を開拓できるのでしょうか? オフロードコースとその周辺路で試します。

主戦場はグローバル、日本市場復帰の6代目

日本人が気にするのはオープンデッキの荷台だろうか。雨が降ったら荷物はどうなってしまうのか? それなら普通のSUVの方がいいのではないか? といった逡巡。

それでもグローバルで見るとピックアップトラックには確実な需要があり、日本メーカーも世界各地で生産して販売していたりする。今回、日本市場に久しぶりに復帰することになった三菱トライトンも世界150か国で年間20万台も販売されている、日本人にあまり知られていない超絶人気の日本車である。

三菱トライトンGSR
三菱トライトンGSR

今回トライトンの日本導入が決定した最大の理由は、2017年に国内市場に復帰したトヨタハイラックスの売り上げが好調だからだろう。

柳の下に2匹目のドジョウはいるのか? ともあれ今日では電動化を含んだクロスオーバーSUVよりもピックアップのような変わり種の方がはるかにクルマ好きの知的好奇心を刺激することは確かだ。

昨年6代目に生まれ変わった新型トライトンは2.4Lの直4ディーゼルターボを搭載するAWDモデル。今回はエンジン/ラダーフレーム/ボディ/足回りなどを総入れ替えしているという。

昨今の“新規導入”はそのまま電動化の下準備だったりすることがほとんどだが、アセアン/オセアニア/中南米/アフリカといった地域が主戦場のトライトンの場合は勝手が違う。精度や堅牢性等々を高めるかたちの正常進化、潔いモデルチェンジのようなのだ。

今回は富士ヶ嶺のオフロードコースと周辺道路でその仕上がりを試した。

アナログな構成、でも仕上げは入念

タイで生産され日本にやってくる新型トライトンは標準グレードのGLSと上級のGSRの2種類が用意される。両者は機構的にはほぼ一緒だが、外観の細かな意匠などに違いがある。今回試乗できたのはGSRの方だった。

ボディの全長はメルセデスSクラスのロングより少し長い5360mmにして、ホイールベースも3130mm。

三菱トライトンGSR
三菱トライトンGSR

小さく作ろうなどと考えていないのは明らかで、運転席も再度ステップで高座に乗り込む感じ。ピックアップ好きにとってはこのサイズ感や、乗り降りのちょっとしたワイルドな所作が重要なのだろう。

2列シート5人掛けの室内はもちろん広々としており、視界も良好。ダッシュパネルは中央のナビパネル以外はアナログ感が強く、メーターも“本物”が付いている。

シフトレバーのすぐ後ろに7つの設定から選べるドライブモードの切り替えスイッチと2駆や4駆、デフロック等を切り替えるスーパーセレクト4WD-IIのダイヤルが備わっている。

204psを発揮するディーゼルエンジンは6速ATになだめてもらってもそれなりにうるさい。それでも走りはじめて驚かされたのは静粛性の部分。新型のフレームとボディがひどく静かだったのである。

ラダーフレームは適度にしなりつつロードホールディングを確保すると言われるが、新型トライトンの場合、オフロードコース内にある岩々急こう配を登るときでもミシリとも言わない。

機構的な部分や目に映る逐一はアナログなのだが、ヒット作だけにコストはちゃんと掛けられている。日本人から見るとガラパゴス的だが、実際は入念に仕上げられた1台なのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。BMW 318iコンパクト(E46)/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    小川亮輔

    Ryosuke Ogawa

    1986年生まれ。幼少期から父親の影響でクルマに惹かれている。独身時の愛車はシボレー・コルベットC5 V8 5.7Lのミレニアムイエロー。現在はレンジローバーV8 5.0L(3rd最終型)に家族を乗せている。2022年、SNSを通してAUTOCAR編集部の上野太朗氏に発掘される。その2日後、自動車メディア初仕事となった。instagram:@ryskryskrysk
  • 編集

    AUTOCAR JAPAN

    Autocar Japan

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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