ミニ・カントリーマン 詳細データテスト ミニらしく活発 SUVらしからぬタイトな挙動 車体は大柄

公開 : 2024.04.27 20:25

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

パワートレインが下位機種であることを考えて、カントリーマンCはシャシーでライバルとの差を演出しなければと考えた節がある。足りない分を補い、ミニらしく仕上げるため、5〜10%くらいミニっぽさを添加した感じだ。

走らせると、快適な乗り心地とハンドリングの精密さの、理想的で偏りのないバランスを求めるには、スプリングが10%くらい硬い印象。一般的なクロスオーバーSUVより路面からの入力に対してやや過敏なだけでなく、ステアリング越しのインフォメーションは慌ただしく、わずかながら轍やバンプにタイヤを取られるような感じもある。

ミニらしいスポーティなシャシーチューニングだが、いかんせん車体が大きすぎる。その走りは、ほどほどスポーティなハッチバックといったところだ。
ミニらしいスポーティなシャシーチューニングだが、いかんせん車体が大きすぎる。その走りは、ほどほどスポーティなハッチバックといったところだ。    MAX EDLESTON

スムースな路面なら、元気な走りだと好意的に受け止めることもできる。ところが、長らくミニの走りを特徴付けているゴーカート感をとくに望まないようなユーザーにも売り込もうという、カントリーマンの狙いにはそぐわない味付けでもある。

ステアリングは直進からの切りはじめがクイックで、手応えはやや重ため。しかし、全般的にフィードバックはとくに濃厚というわけではなく、バンプやキャンバーが続くと気に触る反応をすることもある。ただし、標準装備の18インチタイヤなら、問題は軽減されるはずだ。

適した道を走っていれば、ハンドリングはフラットで鋭く、横グリップはたっぷり。大型SUVのような、力なく抑えの効いていないボディの動きは出ない。背が高くて重いSUVより、ほどほどスポーティなハッチバックを思わせる。

とはいえ、大柄になったサイズを忘れさせてくれることはない。せっかくのシャシーチューニングを、大きさが台無しにしているところがみて取れる。

広いボンネットとノーズの向こうに見える景色は、車体が狭い道幅いっぱいを占めているようだし、スポーティなチューニングのシャシーとはいえ、ホイールベースはトヨタRAV4より長い。多少やる気を出してステアリングを切っても、ミニと聞いて期待してしまうようなファンやエンスージアズムを感じさせるような動きはしてくれないのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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