ミニ・カントリーマン 詳細データテスト ミニらしく活発 SUVらしからぬタイトな挙動 車体は大柄

公開 : 2024.04.27 20:25

結論 ★★★★★★★☆☆☆

新型ミニ・カントリーマンは、好ましい意欲を感じる一台だ。楽しさを追求したハンドリングと気負わない活気よさという、ミニのコンパクトカーを特徴づける要素を、ブランド名にそぐわないサイズのSUVへうまく盛り込もうという試みは、楽な仕事ではなかっただろう。

それが万事うまくいくわけはないのだが、無駄骨だったわけではない。思い切ってやりきったことで、ひとびとの共感を得られそうな心意気みたいなものは示すことができた。

結論:ゆったりした室内空間を備えているが、ファミリーカーに求められる洗練性とは矛盾するところがある。
結論:ゆったりした室内空間を備えているが、ファミリーカーに求められる洗練性とは矛盾するところがある。    MAX EDLESTON

少なくとも斬新かつ個性的なクルマだし、見た目のデザインだけではなく、中身もミニのバッジを掲げるだけのことはある。パフォーマンスには、ハッピーさや元気のよさもそれなりに感じられる。

ただし、ミニのトレードマーク的な乗り心地やハンドリングの活発さは、おそらくちょっと行き過ぎだ。このサイズとカテゴリーのクルマには、しっくりこないと感じる場面が少なからずあった。

必要不可欠なオプションを追加するとやや高価になりすぎるきらいはあるが、広さや信頼性、操縦性、そして上質さは、価格を正当化できるとも言える。しかし、もっと洗練されたプレミアム物件が持ち合わせているような円熟味や、日々付き合いたいと思わせる質実剛健さは、やはり不足しているといわざるをえない。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

なかなか大胆なクルマだが、あえてもっと普通にしようとしたほうが、大胆さが増したのではないかと思わずにいられない。外観はミニらしさを残しつつ、もっと融通が効き、室内はもう少し機能的だったなら。とはいえ、広くて快適で、独創的なクルマではある。

イリヤ・バプラート

走行モードスイッチは、マルチメディアディスプレイのレイアウトとカラーも明確に変化させる。タイムレスモードでは、1950年代のベークライトを思わせるクリームホワイトになるのだが、暗さに慣れた目には眩しすぎる。

オプション追加のアドバイス

このシャシーはもっとパワーがあってもオッケー。なので、Sクラシックをベースに、ホイールは標準仕様の17インチのまま、レベル2オプションを追加。お値段は3万7000ポンド(約707万円)を少々上回るくらいになる。

改善してほしいポイント

・サスペンションの無駄なざわつきをなくして、もっと落ち着いて快適なクルージングができるといい。
・ヘッドアップディスプレイは標準装備化を。あと、もっと大きく。
・ありふれた装備内容の見直しを。また、オプションはバラ売りしてほしい。そうすれば、より希望に沿った仕様が手に入る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Koichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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