余裕と安心の「サイレント」スポーツ ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(2) 創業者も認めた1台

公開 : 2024.06.15 17:46

ロールス・ロイス傘下で新基準の運転体験を叶えた、ベントレー 4 1/4リッター 美しく多様なコーチビルド・ボディが魅力 快適に遠くを目指せる頼もしさ 英編集部が極上の1台をご紹介

ヘッドライトの鋭い眼差し 上品で凛々しい容姿

どんなに堅牢なクルマでも、永遠に好調を保てるわけではない。今回のベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラは、1995年から2002年にかけて、徹底的なレストアが施されている。

エンジンはオーバーホールされ、シャシーやボディも大改修。塗装色は、この時にペール・ブルーへ変更された。投じられた費用は、8万5000ポンドに達したという。

ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1936〜1939年/英国仕様)
ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1936〜1939年/英国仕様)

2022年にも、5万4000ポンドを費やしレストア。仕上がってからは、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードのイベントへ参加している。

整備記録をとじるファイルには、1939年のモーターショーへ輸送した請求書や、ボディを磨いた記録、前オーナーが撮影した写真などが残されていた。

爽やかなアップル・グリーンの塗装は、最近塗られたもの。筆者としてはチェスナット・ブラウンへ戻しても良かったと思うが、この色も悪くない。今回の例以上に状態の良いダービー・ベントレーは存在するとしても、間違いなく数は少ないだろう。

フロントでは、巨大なルーカス社製P100ヘッドライトが鋭い眼差しを向ける。ボンネットは、整ったプロポーションでキャビンと繋がり、ガラス製のリアウインドウは驚くほど小さい。ほぼ、後方視界は得られない。

1930年代の英国車らしく、リアのナンバープレートはガラスで覆われている。両サイドには、カバーで覆われたスペアタイヤとスポットライト。ラジエターグリル前にはツインホーンが並び、上品で凛々しい姿にある。

快適に遠くへ移動できる頼もしい存在

ドアは、後ろヒンジのスーイサイド。右側に突き出たシフトレバーへ引っかからないよう、体をねじらせながらシートへ腰を下ろす。ウッドパネルは光沢が抑えられ、美しくモダンにも見える。

フロントガラスは、下方を浮かせて換気できる。ダッシュボードには、葉巻用の灰皿が設えられている。中央の大きなメーターはスピード用で、表記は時速110マイル(約177km/h)まで。ベントレーRタイプやSタイプにも似た雰囲気を漂わせる。

ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1936〜1939年/英国仕様)
ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1936〜1939年/英国仕様)

運転席の正面には、4500rpmからレッドラインのタコメーター。ステアリングボスを、サスペンションと点火タイミング、チョークの調整レバーが取り囲む。

燃料と電流、水温、油圧用の小さなメーターも、正面に並ぶ。燃料ポンプは2基備わり、AかBで切り替えられる。戦前のロールス・ロイスらしい装備といえる。

キルティング加工されたドアパネルには、アームレストが備わる。バックミラーは小さい。天井の内張りは、ハードトップへ劣らず上質。ソファーのようにふっくらしたリアシート側には、大人にも充分な空間が存在する。

残念だが、ソフトトップは開かない。ヘッダーレールの調子が芳しくないそうだ。

ダービー・ベントレーの時代には、自動車は気まぐれな大人の遊び道具から、快適に遠くへ移動できる頼もしい存在へ進化していた。信頼性を追求して設計された「サイレント・スポーツカー」は、運転の煩わしさを大きく軽減できていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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