かつては最速の「前輪駆動」 クーペ・フィアット UK版中古車ガイド(2) 5気筒ターボは長寿命!

公開 : 2024.06.16 17:46

じわじわ人気上昇中の、クーペ・フィアット デザイナーはクリス・バングルで、生産はピニンファリーナ 初期の4気筒はデルタ由来 シャシーはアルファGTVと共通 英編集部が魅力を再確認

まず確かめたいボディとシャシーの酸化状態

フィアット・クーペ・フィアットをお探しなら、ボディやシャシーの酸化状態を真っ先に観察した方が良いだろう。可能な限りサビの少ない1台を見つけたら、パワートレインの状態確認へ移りたい。

最近にも充分なメンテナンスを受けているか、過去の整備履歴が記録されているかを確認する。エンジンオイルとラジエタークーラントの劣化具合や漏れ、量の状態はわかりやすい判断材料になる。

フィアット・クーペ・フィアット(1993〜2001年/英国仕様)
フィアット・クーペ・フィアット(1993〜2001年/英国仕様)

ランチア・デルタ・インテグラーレ譲りの2.0L 4気筒16Vの場合、タイミングベルト交換のインターバルは短く、4万8000km毎か3年毎で交換するのが理想的。それ以外では、8万km毎か5年毎に交換したい。

またターボエンジンでは、試乗後にアイドリングを5分ほど続けて、排気ガスに白煙が混ざらないかもチェックポイント。煙る場合は、オイルシールの劣化が疑われる。また、停車後はしばらくアイドリングさせて、エンジンを冷却するのが正しい。

フィアットは生産終了の2001年まで改良を続け、1998年には自然吸気の5気筒エンジンに電子スロットルと可変吸気システムを採用。ターボとターボ・プラスも設定され、英国には特別仕様のリミテッド・エディション(LE)が投入された。

ECUチューニングで簡単にパワーアップ可能

走行距離の伸びた例は多いかもしれないが、特に20Vターボの5気筒エンジンは耐久性が高い。そこまで距離を気にする必要はないだろう。逆に極端に短い場合は、見えない部分のサビやブレーキキャリパーの固着などへ注意が必要といえる。

古いフィアットだから各部が錆びがちで、一部は深刻な状態まで進行している様子。ホイールアーチ・ライナーを外すなど、裏側までしっかり観察したい。

フィアット・クーペ・フィアット(1993〜2001年/英国仕様)
フィアット・クーペ・フィアット(1993〜2001年/英国仕様)

一般的に、表からは見えないところでサビは広がりやすい。ただし、さほど酷くない例が多いようではある。20Vターボ用の純正アルミホイールも、腐食しやすいようだ。

サンルーフはオプションで設定されたが、装備された例は珍しい。レカロシートは、サイドボルスターがすり減りがち。

速いクーペとして、チューニングやアップグレードは一般的といえる。エンジンを問わず、ECUチューニングで簡単にパワーアップ可能。サスペンションやブレーキも、複数の社外品から選択できる。

英国の中古車市場では、5気筒の20Vターボがクーペ・フィアットの大多数を占める。4気筒エンジンの方が、希少価値は高い可能性があるものの、高価格帯の中心をなすのは20Vターボとなっている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マルコム・マッケイ

    Malcolm Mckay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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