「一挙両得」を狙ったスポーツサルーン BMW 5シリーズ ベスト・ハイブリッド賞 AUTOCARアワード2024

公開 : 2024.07.12 19:06

今年前半までを振り返り、各カテゴリーでのベスト・モデルを称えるAUTOCARアワード スーパーカーからコンパクトハッチまで、2024年に受賞した栄えある8台をご紹介

一挙両得を狙ったスポーツサルーン

先代のBMW 545eは、優れた電動化技術と内燃エンジン、シャシーの組み合わせで、一挙両得を狙ったようなモデルだった。プラグイン・ハイブリッドで、環境規制に対応。同時に、素晴らしい直6エンジンを積んだ優秀なスポーツサルーンでもあった。

その後、5シリーズは新世代へ進化。後継モデルとして、その強みを受け継いだ550eが加わった。電気だけで走れる距離が増え、パワフルになり、優れた快適性と動的能力を巧みにバランスさせている。

BMW 5シリーズ(英国仕様)
BMW 5シリーズ(英国仕様)

プラグイン・ハイブリッドのサルーンは各ブランドが擁し、6気筒エンジンを積んだモデルもある。それでも、環境性能とスポーツサルーンとしての能力を、5シリーズ並みに高次元で叶えた例は少ない。

最新のG60型は、バッテリーEVのi5と同時に開発され、取り組むべき課題は多かったはず。しかし、バイエルンのエンジンメーカーとして成長を続けてきたBMWだから、内燃エンジン版の5シリーズが秀逸に仕上がっても不思議ではないだろう。

捨てがたい重厚で贅沢な直列6気筒

550eに載る直列6気筒のE58型ユニットは汎用性が高く、イネオスのオフローダーや、モーガン・プラスシックスの動力源にもなっている。滑らに回り、サウンドも美しい。プラグイン・ハイブリッドになっても、有能ぶりが変わることはない。

また、アダプティブダンパーが標準装備になる550eは、乗り心地も素晴らしい。ゆったり大人なクルージングへ浸れる一方、その気になれば驚くほど機敏にカーブを巡れる。

BMW 5シリーズ 550e(欧州仕様)
BMW 5シリーズ 550e(欧州仕様)

4気筒を積む530eも、速さは充分。ノーズが軽いぶん、操縦性も良い。電気だけで走れる距離は競争力に長け、燃費も良い。こちらも強く推奨できるサルーンだが、550eの直6ユニットが醸し出す、重厚で贅沢なフィーリングは捨てがたいことも事実だ。

とはいえ、530eでも550eでも、プラグイン・ハイブリッド技術の熟成度は間違いない。これでステーションワゴンのツーリングが登場すれば、実用性が増し、魅力的なシルエットになり、究極のハイブリッド 5シリーズが完成するように思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    英国編集部ライター
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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