3代目 ポルシェ・パナメーラへ試乗 電動技術ナシでも滑らかで高速! 洗練性との見事な調和

公開 : 2024.08.16 19:05

第3世代へ進化したパナメーラ 電動技術なしでも滑らかで高速 モニター中心の車内 エアサス標準装備で動的な特性の幅広さに唸る 動力性能と洗練性の見事な調和 英国編集部が評価

電動技術なしでもパナメーラは滑らかで高速

大陸を冒険的に横断するグランドツアラーらしい、刺激的な名前が与えられたポルシェのパナメーラ。同時に、4ドアの911と表現されるほど、その2ドアクーペと印象が重なることも特徴だろう。

しかし近年は、同クラスに属するバッテリーEV、タイカンという新しい存在がある。英国では売れ行きでも上回っている。内燃エンジンのスポーツサルーンを972型の第3世代へ進化させるうえで、この存在が小さくない影響を与えたことは明らかなようだ。

ポルシェ・パナメーラ(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ(英国仕様)

初試乗となったのは、2024年3月のスペイン。今回は、グレートブリテン島の傷んだアスファルトで、じっくり仕上がりを確かめたい。暑い夏でも雨が多いこの土地は、クルマにとっては手厳しい環境といえる。

ボディサイズは、全長5052mm、全幅1937mm、全高1423mmと、相変わらず小さくはない。車重は、非ハイブリッドで後輪駆動の素のパナメーラでも、1885kgある。

とはいえ、2.9L V6ツインターボエンジンの最高出力は354ps。最大トルクは50.9kg-mと太い。ブースト圧の上昇に加えて、点火タイミングと燃料噴射量の最適化により、従来から23ps強力になった。四輪駆動のパナメーラ 4にも、この仕様のV6が積まれる。

電動化技術がなくても、パナメーラは滑らかで速い。アクセルペダルに対する反応は即時的。ポルシェへ期待する通り、洗練度も高い。

エアサス標準装備 動的な特性の幅広さに唸る

市街地を走れば、車内は静か。郊外の道を飛ばし出せば、心地良いスポーティなサウンドが届き始める。

8速デュアルクラッチATは、信じられないほど仕事が流暢。ユニット任せの変速でも、ステアリングホイール裏のパドルを弾いても。

ポルシェ・パナメーラ(英国仕様)
ポルシェ・パナメーラ(英国仕様)

パナメーラの割に、パワー感は控え目かもしれない。0-100km/h加速は5.1秒で、最高速度は271km/h。遅くはないが、豊かな余裕を誇るともいえない。だが、むしろ筆者はこのくらいがちょうどいいと思う。

リラックスした運転姿勢を取れる車内と、シンクロするからだ。SUVより低い着座位置も好ましい。多くの人の嗜好が、カイエンやマカンへ移ったとしても。

新世代のパナメーラで特徴となる技術が、標準装備になったエアサスペンション。圧縮と伸張を個別に調整できる2バルブダンパーが組まれ、減衰特性の幅が広げられている。実際、この足まわりは見事に機能する。

グレートブリテン島の荒れたアスファルトを、ポルシェ・アクティブサスペンション・マネジメントは見事に処理。低速域でも、穏やかな乗り心地を実現している。

多くのエアサス仕様のモデルと異なり、路面から浮いた印象がないことも強み。確かな接地感とフィードバックで、ドライバーへ運転する自信を与えてくれる。

ステアリングの反応も同様。紛うことなき、ポルシェのそれだ。適度な重み付けと、抜群の精度を得ている。ドライブモードを切り替えれば、パワートレインとステアリング、サスペンションが明確に変化し、動的な多様性にも唸る。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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