【マクラーレンW1デビュー】 1275ps&1340Nm! マクラーレン史上、最高性能のロードカーが降臨!

公開 : 2024.10.06 21:10  更新 : 2024.10.08 12:44

既にそのデビューが予告されていたマクラーレンの最高峰モデル『W1』が、いよいよ公開になりました。マクラーレン本社で実車を見てきた、西川淳が解説します。

F1、P1に続く"1"マシン第3弾

マクラーレンから新たに”1″を名乗るハイパーカーがデビューした。1990年代に伝説となった『F1』、新生オートモーティブカンパニーのアイコンとなった『P1』に続く”1″マシンの第3弾、『マクラーレンW1』の登場だ。

Wはワールドチャンピオンを意味する。いうまでもなくチーム・マクラーレンはF1王者の常連であり、2024年もチャンピオンシップを懸けて最前列で戦っている。

F1、P1に続く"1"マシンの第3弾、『マクラーレンW1』が登場。
F1、P1に続く"1"マシンの第3弾、『マクラーレンW1』が登場。    マクラーレン

ロードカー分野でも当然のことながら目指すは世界一。そのことを高らかに宣言すべく、W1の発表日は10月6日とした。ちょうど50年前のこの日、マクラーレンはF1界においていずれも初となる、ドライバーズタイトルとコンストラクターズタイトルをWで獲得したからである。

それゆえW1の目指したパフォーマンスは、現時点で世界トップレベルになると言って良い。例えば同門の『スピードテール』よりも素早く300km/hに達し、テストトラックでは『セナ』を大きく引き離してラップを重ねるような性能を目指し、開発されたというから驚く。

見どころもまた実にマクラーレンらしい。ロードカーとしては最高レベルの空力スペックと、完全新開発のハイブリッドV8パワートレーン、そして新たなカーボンセルをコアとする軽量化(最軽量乾燥重量は1399kg!)の徹底である。これらは全てマクラーレン製ロードカーに共通する”哲学”であり、アルティメット・シリーズは時代におけるその極限を目指す必要があった。

W1は世界限定399台で、すでにアロケーション済み。価格は2ミリオン・ポンド以上で、もちろんMSOによるパーソナライゼーションはほとんど無限に可能だ。

システム最高出力1275ps&最大トルク1340Nm!

まずは驚異のパワートレインから見ていこう。次世代に向けて新たに開発された4LV8エンジンは『MHP-8』と呼ばれ、最高出力は928psを誇る。リッターあたり驚異の233ps。最高許容回転数は9200rpmだ。

これに347psを発揮するアクシャルフラックスモーターを含んだEモデュールを組み合わせ、システムでの最高出力1275ps&最大トルク1340Nm(136.7kg-m)を達成。8速DCT(バックは電気式)とEデフを介し、リア二輪へと全ての駆動力をデリバリーする。そうマクラーレンはまたしてもミドシップRWDを貫いてきた。

新設計の『アエロセル』と呼ばれるモノコックを採用。シートも一体化した。
新設計の『アエロセル』と呼ばれるモノコックを採用。シートも一体化した。    マクラーレン

0-100km/h加速は2.7秒、同じく200km/hまでが5.8秒、300km/hまでが12.7秒を誇る。ちなみにバッテリー容量は1.384kWhで、走行中の使い勝手=電気の出し入れを重視するスペックとなっている。

マクラーレンといえばCFRP製モノコックボディが車体性能のコアとなる(それ以外の材質を使ったボディを1980年代以降作ったことがない!)が、W1用は完全に新設計の専用品で『アエロセル』と名付けられた。

新たな特徴としてはマクラーレン初のガルウイング、『マクラーレン・アンヘドラル・ドア』を組み合わせ、シートをモノコックと一体化したことだ。これらによりホイールベース換算で70mmの短縮に寄与したという。

またフロントサスペンションはインボード方式を採用、アエロセルに直接組み付けられている。プッシュロッド式サスとした点もマクラーレンのロードカーとしては初めて。フロントのアーム類は3Dプリント品で、重量と空力、機能の最適化が図られている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    西川淳

    Jun Nishikawa

    1965年生まれ。京都府在住の自動車ライター。スーパーカーなどの高額車、スポーツカー、クラシックカーといった“趣味のクルマ”が得意。精密機械工学部出身で、産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めることを理想としており、中古車事情にも通じる。「永遠のスーパーカー少年」として知られている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事