美しさは永遠なり マセラティMC20 長期テスト(最終) ネットウーノV6エンジンの臨場感

公開 : 2025.01.19 09:45

V6ネットウーノ・ユニットの臨場感

スポーツ・モード時の、スタビリティ/トラクション・コントロールの制御は秀逸。回頭を高めるスライドは許容するものの、それ以上深い角度には至りにくい。ソフトとハードを選べるサスペンションの減衰特性も、公道の多くの条件へ見事に合致した。

気になったのは、ブレーキの効き。カーボンセラミック・ディスクが組まれているが、クセを加味しても、冷えた状態では若干心もとなかった。しかし、その程度だ。

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

時期は重ならなかったが、長期テストではアルトゥーラもレポートしている。同じくカーボンファイバー製タブシャシーを備える、6気筒エンジンのスーパーカーだが、比較するとMC20の方が割高に思えるかもしれない。

アルトゥーラの方が間違いなく更に速く、運転席からの視界は広い。荷室の容量も大きく、電気だけで静かに早朝の住宅地を出発することもできる。

それでも、MC20のネットウーノ・ユニットは、臨場感で負けていなかった。ドラマチックなエンジン音と、現実世界で能力を引き出しやすいパワー特性は大きな強み。僅かな差だが、より長い時間、アクセルペダルを踏んで悦楽に浸れる。

MC20の振るわない数年後の残存価値が、販売にも影響している。同クラスの296 GTBと比べると、下取り価格には明らかな差があるようだ。

だが、30年後の価値はどうだろう。純粋にエンジンで走るスーパーカーとして、他を凌駕する注目を集めるのではないだろうか。スピリットは1980年代で、ストロングポイントは2020年代。美しさは永遠なように思う。

セカンドオピニオ

スーパーカーを買える人は限られている。その特別な層は、恐らくフェラーリ296 GTBへより強く惹かれているのではないだろうか。筆者は、この現状へ疑問を抱いている。

MC20は、該当クラスのダークホース。極めて乗りやすく、素晴らしい音響体験で満たしてくれる。希少性が高く、ドアはガルウイング。このモデルの魅力へ、より多くの人が気付いて欲しい。 ウィル・リメル(Will Rimell)

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

テストデータ

気に入っているトコロ

敷居の低いパワートレイン:ハイブリッドではないからシンプル。ドライブモードもシンプル。シートへ座ったら、すぐに理解できる。古き良き時代を蘇らせる、サウンドも極上だ。
しなやかな動的特性:蝶のように舞い、蜂のように刺す。乗り心地はしなやかでも、パフォーマンスは強靭だ。
長距離での快適性:ダンパーをソフトにすれば、終日運転しても快適。キャビンも広々としていて、シートも疲れ知らず。

気に入らないトコロ

軽くはない車重:実際に計測したら、車重は1.7t超え。運転すれば身軽に感じられるものの、1.5tは切って欲しい。
ややお高めの価格:ライバルと比べると、英国価格はお高め。メカニズムを踏まえると、3万ポンド(約585万円)ほど安くても良いかも。

走行距離

マセラティMC20(英国仕様)
マセラティMC20(英国仕様)

テスト開始時積算距離:1万2425km
テスト終了時積算距離:1万8388km 

価格

モデル名:マセラティMC20(英国仕様)
開始時の価格:22万2025ポンド(約4329万円)
現行の価格:22万7100ポンド(約4428万円)
テスト車の価格:31万735ポンド(約6059万円)

オプション装備

エクステリア・カーボン・パッケージ:3万6240ポンド(約706万7000円)
ジャッロ・ジェニオ塗装:9650ポンド(約188万円)
ライトウエイト・モノコック・レーシングシート:5900ポンド(約115万円)
カーボンファイバー・エンジンカバー:4855ポンド(約94万7000円)
バードケージ20インチ・アルミホイール:3840ポンド(約74万9000円)
ソナスファベール・サウンドシステム:3750ポンド(約73万1000円)
ノーズリフト付きスポーツサスペンション:3250ポンド(約63万4000円)
アルカンターラ・インテリア:3000ポンド(約58万5000円)
電子制御LSD:2150ポンド(約41万9000円)
ブルー・ブレーキキャリパー:1100ポンド(約21万5000円)
エンボスロゴ付きヘッドレスト:850ポンド(約16万6000円)
電動ドアミラー:650ポンド(約12万7000円)
シートヒーター:550ポンド(約11万7000円)

燃費&航続距離

公称燃費:8.7km/L
タンク容量:60L
平均燃費:7.5km/L
最高燃費:12.3km/L
最低燃費:3.7km/L
航続可能距離:450km

主要諸元

全長:4669mm
全幅:1965mm
全高:1224mm
最高速度:325km/h
0-100km/h加速:2.9秒
CO2排出量:261g/km
乾燥重量:1475kg
パワートレイン:V型6気筒3000cc ツイン・ターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:630ps/7500rpm
最大トルク:74.2kg-m/3000-5500rpm
ギアボックス:8速デュアルクラッチ・オートマティック(後輪駆動)
トランク容量:150L(前後合計)
ホイールサイズ:9.0J 20インチ(前)/11.0J 20インチ(後)
タイヤ:245/35 ZR20(前)/305/30 ZR20(後)

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:−ポンド(−万円/1か月)
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:1133.56ポンド(約22万1000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:1133.56ポンド(約22万1000円)
1マイル当りコスト:0.31ポンド(約60円)
不具合:一時的なノーズリフト機能の警告表示

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

長期テスト マセラティMC20の前後関係

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