2.5L直4 NAを積んだ最新作 フロントラインMGB 2.5へ試乗 目標は1960年代での最適化

公開 : 2025.01.22 19:05

目指したのは1960年代に最適化されたマシン

フロント側では、スプリングパンとロワアーム、ドロップリンクなどは維持。ストラットの上半分は、独自開発品とのこと。基本的に、ボディシェルに追加される固定用の穴は最小限で、本来の状態に戻すことも難しくない。

今回のデモ車両には、手動調整できるナイトロン社製ダンパーと、ベンチレーテッド・ディスクブレーキが組まれていた。スタッフは、愛情を込めて「スー」と呼ぶ。

フロントラインMGB 2.5(英国仕様)
フロントラインMGB 2.5(英国仕様)

技術的には手の込んだ仕上がりにあるが、公道を走り出すと、ダイレクトな感覚で難しいことはすぐに吹き飛ぶ。ダッシュボード下部に、電動パワーステアリングの調整ダイヤルが追加されているものの、それ以外は電気的にドライバーを補助する機能はない。

操縦性は極めてクリア。湿ったアスファルトでも、秘めたパワーを恐れず展開できる。

主役といえるのは、爽快なエンジン。フォード・デュラテック・ユニットを素材に、ヘッドはポート加工され、専用ピストンが組まれている。ECUとインジェクション、カムシャフト、スプリングバルブ、排気系も独自品とのこと。

2500ccから絞り出される最高出力は、293ps。最大トルクは33.1kg-m。丁度いい重みのアクセルペダルを優しく傾けると、スムーズに速度が上昇していく。何とも味わい深い。クラッチペダルも扱いやすい。

人間工学的には、想像を超えない。しかしフロントライン社によって整頓し直され、ドラバーへ充足感を与える。1960年代に最適化されたマシンだと感じさせようという、同社の哲学が素晴らしい結果を生んでいる。

本物のMGBらしさを醸し出す操縦性

ステアリングホイールは、モトリタ社製のウッドリム。シャシーのバランスは秀抜で、安定してカーブへ侵入していく。反応は正確で、グリップ力は充分。きっかけを与えて、リアアクスルを遊ばせる事も容易い。

誰もいないロータリー交差点は、プレイグラウンド。軽いフロントに優れた視界、鋭敏なアクセルレスポンスとLSDが相乗し、意のままに振り回せる。

フロントラインMGB 2.5(英国仕様)
フロントラインMGB 2.5(英国仕様)

操縦性にはクラシカルな雰囲気が残り、現代の水準で完璧なまとまりにあるわけではない。しかし、それが本物のMGBらしさを醸し出す。ボディは小柄。2025年のモデルに見慣れた筆者にとっては、極めて新鮮でもある。純粋に面白い。

乗り心地は良好。適度に引き締まっているが、落ち着いている。高速道路でも安定性は変わらない。21段階調整のダンパーは、ちょうど中央値にあった。

快適性を考慮し、25kgの遮音材がボディシェルに貼られている。車内はトヨタGR86より、少しうるさいくらい。ブルートゥース接続できる、サウンドシステムが備わる。だが目立たないよう、アームレストの下にインターフェイスは隠れている。

一層シリアスな運転体験を求める人はいるだろう。電動パワステを省き、クイックなステアリングラックと深いバケットシート、太いタイヤを組むという希望にも、同社は応えてくれる。予算次第で、V8エンジンも積める。

とはいえ試乗したスーは、最適バランスに思えた。これ以上に魅力的なレストモッドを生むことは、簡単ではないだろう。

フロントラインMGB 2.5(英国仕様)のスペック

英国価格:15万ポンド(約2925万円)
全長:3886mm(オリジナルMGB)
全幅:1524mm(オリジナルMGB)
全高:1238mm(オリジナルMGB)
最高速度:225km/h
0-100km/h加速:4.5秒
燃費:10.6km/L(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:1120kg
パワートレイン:直列4気筒2500cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:293ps
最大トルク:33.1kg-m
ギアボックス:6速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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