2.5L直4 NAを積んだ最新作 フロントラインMGB 2.5へ試乗 目標は1960年代での最適化
公開 : 2025.01.22 19:05
名門レストモッド・ガレージが手掛けた珠玉のMGB 最新作は自然吸気の2.5L直列4気筒で293ps ボディシェルは再生産される新品 目指したのは1960年代に最適化されたマシン 英編集部が評価
もくじ
ー自然吸気の2.5L直列4気筒を積んだ最新作
ーボディシェルは再生産される新品 溶接で強化
ー目指したのは1960年代に最適化されたマシン
ー本物のMGBらしさを醸し出す操縦性
ーフロントラインMGB 2.5(英国仕様)のスペック
自然吸気の2.5L直列4気筒を積んだ最新作
このレストモッドは、電動化ではない。ベースのモデルは、ポルシェ911ではない。グレートブリテン島南部、アビンドンに拠点を置く、定評あるレストモッド・ガレージが手掛けた珠玉の作品だ。
1991年のこと。ティム・フェンナ氏は、期待を裏切り続けるMGの古いトランスミッションに嫌気が差していた。そこで、信頼性の高い適応部品を作ることに決めた。フロントライン社を立ち上げて。

21世紀が始まる頃には、MG用の高性能部品サプライヤーとして、世界的に頼られる存在へ成長。2010年に現在の場所へ移転し、本格的にMGBのレストモッドを手掛け始めた。そこは、F1チームだったベネトンが手放したワークショップだった。
最初にリリースされたのが、マツダMX-5(ロードスター)由来のエンジンを強化し搭載した、LE50。以来、仕立てられる内装は芸術的な水準へ向上し、メカニズムはシリアスさを増している。MGBが素材だという、基本はそのままに。
2年前にわれわれを驚かせたのは、4.8L V8エンジンを押し込んだLE60。当時のBMW M4 CSLに劣らない動的能力を得ていた。
経験豊かな技術力で、電気モーターとバッテリーへ置換するエレクトロモッドにも進出。ほぼ無音でスリリングな走りを叶えた、BEE GTも開発されている。
今回試乗したのは最新作。エンジンはさほど驚きのない、2.5Lの自然吸気・直列4気筒だ。しかし、上辺に惑わされないで欲しい。ここ数年で筆者が運転したレストモッド・モデルで、最高の部類にある。
ボディシェルは再生産される新品 溶接で強化
MGB 2.5の英国価格は15万ポンド(約2925万円)と、簡単には手が届かない。しかし、それを納得させるように、隅々まで仕上がりは素晴らしい。
ボディシェルは、当時のMGの製造機械を保有する、ブリティッシュ・モーター・ヘリテージ社が提供する新品。これが、フロントライン社のデフォルトになっている。

同社のディレクター、コナー・マシューズ氏によると、古いMGBをベースにすることも可能だが、殆どの場合は酸化が酷いと話す。サビの還元処理をして、サンドブラストを施しても、納得できる状態には戻らないことが多いそうだ。
「MGBは、固定ルーフを切断するのではなく、最初からロードスターとして開発されました。初めからシャシーは頑丈です。しかし残念なのが、接するパネルが隙間なくシーム溶接されていないことです」
「弊社では、FIA(国際自動車連盟)の規定に合うよう、全体を溶接します。ボディ全体が強化されているんです」。フロントライン社のMGBは、レース参戦時でも追加の補強は必要ないという。
リア・サスペンションも強化されている。レストモッドとして、リジットアクスルはそのままだが、動きを安定させるため6リンクを追加。クワイフ社製のリミテッドスリップ・デフと、強化ハーフシャフト、ベアリングなども実装される。