購入時に気をつけたいポイント

ボディとホイール

アンダートレイ付近を中心としたフロント・サブフレームに、リア・サブフレーム、アンチロールバー、ホイールアーチ・ライナーのブラケットなど、アルミニウム製シェルと接するスチール部分が腐食しがち。各部を分解して、状態を確かめたい。

また、それらと接するアルミニウム側も腐食する。リアのホイールアーチ、スチール製のクーラントパイプも錆びる。

エンジン

V型12気筒エンジンは、正しいメンテナンスで24万km程度まではリビルド不要。エンジンのチェックランプが点灯している場合は、OBDIIリーダーでエラーを特定できる。

点火系のエラーなら、バキューム・システム内のPCVバルブ不調によるオイル漏れや、点火プラグ付近のシール不良が疑われる。点火コイルやプラグ自体の故障は少ない。

燃料ポンプは故障しがち。カムカバーやフロントカバー、オイルパンからオイル漏れしていないか観察する。バッテリー上がりでジャンプスタートすると、ECUが焼き付く場合がある。

トランスミッション

セミATは、望ましいタイミングで変速するか確認する。1速から変わらなかったり、走行中にニュートラルへ落ちる場合がある。フルードの交換歴も調べたい。ちなみに、アストン マーティンは、シフトパドルを用いたドライビングガイドを出版している。

ブレーキとサスペンション、タイヤ

ブレーキキャリパーの固着に注意。減速時に、異常な振動がないかも確かめたい。酷使すると、ディスクが変形・偏摩耗してしまう。アップグレードされている例は多い。

サスペンションは、強い負荷を受け続けるブッシュ類とショックアブソーバーが劣化しやすい。純正タイヤはヨコハマ社製で、リア側はアストン マーティン認証コンパウンドを履く。

インテリア

すべての電気系統が正常に動くか確かめたい。内装も、細部まで観察を忘れずに。

アストン マーティン V12ヴァンキッシュのまとめ

美しいV12ヴァンキッシュは、走りも素晴らしい。同年代のイタリアン・エキゾチックと比較しても、コストパフォーマンスは高いといえる。クラシックカーとして地位を確立しつつある時期にあり、現在は現実的な価格ながら、今後の上昇は想定される。

定期的に運転され続け、しっかり整備されてきた例を探したい。アストン マーティンへ造詣が深いガレージの助けを借り、既知の弱点には順番に対処したいところ。普段使いできる、モダンクラシックのスーパーカーといえる。

良いトコロ

多くの部品はフォード由来。電気系統に関しては、現代のアップグレード部品で対応可能。想像するほど維持費はかからないといえる。

良くないトコロ

複雑な技術を実装するため、細かな不調は一般的。電気的な部品の交換には、アストン マーティンのダイアグノーシスでのセットアップが必要になる。

アストン マーティン V12ヴァンキッシュ（2001〜2007年／英国仕様）のスペック

英国価格：16万3600〜17万4000ポンド（新車時）
生産数：1492台（V12ヴァンキッシュ）／1086台（V12ヴァンキッシュ S）
全長：4665mm
全幅：1998mm
全高：1318mm
最高速度：315km/h（321km/h以上／V12ヴァンキッシュ S）
0-97km/h加速：4.2秒
燃費：3.5-7.1km/L
CO2排出量：−
車両重量：1835-1878kg
パワートレイン：V型12気筒5935cc 自然吸気DOHC
使用燃料：ガソリン
最高出力：466ps/6500rpm-527ps/7000rpm
最大トルク：55.2kg-m/5000rpm-58.6kg-m/5800rpm
ギアボックス：6速セミ・オートマティック（後輪駆動）

画像　当時の世界最高GT　アストン マーティン V12ヴァンキッシュ　現行型とDB12、ヴァンテージも　全123枚