これぞ「究極」 ランドローバー・ディフェンダー・オクタへ試乗 BMW由来のV8に専用シャシー
公開 : 2025.02.03 19:05
フロントタイヤを軸にリアを振り回せる
確認が長くなったが、運転体験へ移ろう。先述の赤いドライブモード・ボタンを軽く押すと、ダイナミック・モードが選ばれる。エアスプリングが車高を落とし、排気音は大きくなり、高速道路向きの制御になる。
サスペンションには、テネコ社製の6Dインターリンク・アダプティブダンパーが組まれている。このダンパーは、ディフェンダー 90のシャシーへ現状では対応していない。その結果、オクタは5ドアの110のみの設定となった。

ボタンを押し続けると、オクタ・モードが起動する。車高はそのまま、ダンパーの制御が変わり、四輪駆動システムは80%のトルクをリアアクスルへ分配。ロール・スタビリティ・コントロール(RSC)と、通常のスタビリティ・コントロールが無効になる。
排気音は一層大きくなり、アンチロックブレーキの制御も変化。自在に振り回す、準備体制が整う。ただし、排気音はもっとV8エンジンの存在を主張してもいい。G 63のように、シビれるサウンドが望ましい。
ギアの変速を制限し、積極的な走りを最大限に引き出すには、8速ATはSモードがベター。110km/hを過ぎるまで、かなり鋭く加速してみせる。これ以上の速度域でも、四角いボディの影響で風切り音は大きくなるが、力不足を実感することはない。
ハイスピードで砂利敷のコーナーへ接近しブレーキングすると、意図的にフロントタイヤはロック。それを軸に、リアタイヤを振り出すように回頭できる。そのアングルは、ステアリングの修正で容易。安定性も高い。
険しい大地の走破性は間違いなし 滅法楽しい
アクセルペダルを僅かに踏み込んだまま、コーナリングラインの調整も可能。車重2.5tのオフローダーへ想像する以上に、意のままに旋回できる。例えるなら、ランドローバーによるオフロード界のポルシェ911 GT3だ。
ただし、充分な広さが必要になる。ボディは大きく感じられ、旋回時には小さくないボディロールを伴う。オールテレーンタイヤを履くが、グリップは期待以上とはいえない。それでも落ち着きは高く、ある程度までは滅法楽しい。

険しい大地での走破性は間違いない。テレインレスポンス2を切り替えれば、傾斜30度の斜面でも不安いらず。ゴツゴツした岩をものともせず、登り降りできる。アクセルとドライブトレインの反応が精緻で、タイヤのブロック毎に進むような調整も可能そうだ。
カメラ映像で、ボンネット直下の様子も確認できる。歩くのにも苦労しそうな地形が、後ろへスルスル流れる様子を眺められる。
砂漠のような大地では、拡幅された能力を堪能できる。V8エンジンが豊かなトルクを湧出し、砂丘を豪快に踏破。大きな起伏ではダンパーが効果的に働き、姿勢を安定させる。フルバンプすることなく、タイヤは制御される。
ただし舗装路では、望外にエキサイティングなわけではない。アクセルペダルを踏んでいる限り極めて速く、快適性も高いものの、僅かに理想へ届いていないように感じられた。より足まわりを引き締め、旋回性能を高めた、短い90のオクタも見てみたい。































































































































