これぞ「究極」 ランドローバー・ディフェンダー・オクタへ試乗 BMW由来のV8に専用シャシー

公開 : 2025.02.03 19:05

BMW由来の4.4L V8に専用シャシーで徹底武装した、ディフェンダー・オクタ 砂利道を切り裂くように疾走 フロントタイヤを軸にリアを振り回せる 畏敬の念を抱ける仕上がりだと英編集部は評価

砂利道を切り裂くように突き進む「オクタ」

南アフリカ・ケープタウンから約300km北上した砂利道で、ランドローバーディフェンダー「オクタ」を疾走させる。いや、今日の早朝からあらゆる路面で。ネタバレになるが、その印象は本当に素晴らしい。

壮大な山々が地平線へ連なる。筆者を先導する広報車両は、100km/h近い。クルマへ深い自信がなければ、この速度で追走させようとは思わないはず。

ランドローバー・ディフェンダー・オクタ・エディションワン(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー・オクタ・エディションワン(英国仕様)

ポルシェカイエンランボルギーニウルスメルセデスAMG Gクラスで出そうと思える速度より、5割程度は速いはず。ゴツゴツした岩が露出し、相応の設計でなければ制御を失い、コースを外れる可能性がある。

このディフェンダー・オクタは特別。専用チューニングのシャシーは、砂利道を切り裂くように突き進む。路面の凹凸のすべてを吸収し、ボディは信じがたいほど平静だ。

比較すべきモデルは、アリエル・ノマドやフォード・レンジャー・ラプターかもしれない。それでいて、通常のディフェンダー 110が許すすべてのことにも対応できる。

究極のディフェンダーを目指し、オクタではあらゆる部分がアップデートされている。最低地上高は持ち上げられつつ、操縦性の向上も図られている。運転の魅力を失わないまま、どんな路面でも妥協はない。

完全にイチからやり直した、と表現しても過言ではないだろう。エンジンは、BMW由来の4.4L V8ツインターボガソリン。最高出力は636psを誇る。8速ATとクイックなステアリングラックは、レンジローバー・スポーツ SV譲りだ。

各所に施されるダイヤモンドのロゴ

エアスプリングで、平時の車高は28mm高い。ドライブモードで上下するが。最低地上高は291mmから323mmへ、渡河水深は900mmから1000mmへ増加。ボディと路面が接する角度は、フロントのデパーチャーでは40度から43度へ増えた。

ウイッシュボーンとハブ、アップライト、ブッシュ類も専用アイテム。トレッドは、前後とも68mm広い。外に出たタイヤを覆うため、フェンダーも拡幅されている。

ランドローバー・ディフェンダー・オクタ・エディションワン(英国仕様)
ランドローバー・ディフェンダー・オクタ・エディションワン(英国仕様)

こだわられたのが、通常のディフェンダーとロールセンター高を一致させること。全高を高め、サスペンションのストロークを伸ばしつつ、ボディロールを抑制するため。

タイヤは、純正でオールテレーンのグッドイヤー。ただしこれを履く場合は、性能上、最高速度が159km/hに制限される。オールシーズン・タイヤなどへ、変更もできる。

車内は機能性重視、試乗車にはカーボンファイバー製トリムと、座り心地の良い新設計のバケットシートが備わっていたが、それ以外に高性能を実感させる変化は小さい。

観察すれば、オクタのダイヤモンド・ロゴが各所に施されている。ステアリングホイール・ボスの下にも、赤いドライブモード・ボタンが追加されている。

実用性は変わらず。小物入れなどが随所にあり、前後のシートへ大人5名が快適に座れる。ダッシュボードには、実際に押せるハードボタンも多い。横開きのテールゲートにはスペアタイヤが固定され、開閉と駐車はしにくいが。

インフォテインメント・システムは、操作しやすいピヴィ・プロ。外部カメラ映像を確認できる、オフロード用の表示モードも備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    英国編集部ロードテスト・エディター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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