ゴードン・マレー氏と新社屋へ潜入 T.50の量産拠点 GMAを訪問(1) 教育機関も計画中
公開 : 2025.02.04 19:05
新社屋がほぼ完成した、ゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA) 量産が本格化したT.50 運転体験はマクラーレンF1とまったく違う? 英編集部が最新の施設とスーパーカーを体験
ふらりと姿を表したゴードン・マレー氏
白髪のゴードン・マレー氏本人が、ふらりと姿を表した。ほぼ仕上がった状態の新社屋の外壁には、彼の名前が誇らしく掲げられているが、登場はまったく期待していなかった。今日2度目の、サプライズとなった。
筆者が今お邪魔しているのは、グレートブリテン島南部、サリー州にあるゴードン・マレー・オートモーティブ(GMA)。来客をもてなすエリアの一角にある、「ザ・エンジン」と名付けられた待合室で、同僚とブリーフィングしていたところだった。

まっさらな壁には、V型12気筒エンジンのアートワークが飾られている。GMAのCEO、フィリップ・リー氏と、同社チーフ・テストドライバーのダリオ・フランキッティ氏へ、お話を伺う約束をもらっていた。
今日最初のサプライズは、新社屋そのもの。想像以上に大きくモダンで、ガラス張りの面積が広く、威風堂々とした佇まいだったからだ。
多くの来客者と異なり、筆者はVIP用駐車場の案内へ従って進み、正面エントランスの車寄せまで入らせていただいた。受付デスクのすぐ横にはGMAのスーパーカー、T33とT.50が停まっていた。ガラスの外からでも、見惚れる美しさだ。
AUTOCARの読者なら、マレーの健康状態が芳しくないことをご存知かもしれない。忙しいはずでもあり、彼がこの場に姿を表すとは、まったく想像していなかった。
しかし、着実に復調しつつあるらしい。うれしいことに、笑顔で筆者と同僚を迎えてくれた。気分が良い時にいつも選ぶ、飾らないシャツを着て。
建物の設計は、クルマと同じくらい楽しい
施設は、まだ完全には完成していない。顧客などを除いて、外部の人間がお邪魔するのは、わたしたちがほぼ初めてだとか。マレー自ら、内部を案内してくださるという。
建物の設計はクルマと同じくらい楽しいと、彼が話すのを以前に耳にしたことがある。廊下を歩いているだけでも、デザインやクオリティ、マテリアルへの思い入れの強さ、細部まで行き渡った意思へ気付ける。彼のあらゆる仕事へ、通じているように思う。

ハイアムズ・パークという名の本社敷地は、23万4718平方mという広さがあり、以前はカムコープという技術企業が位置していた。敷地内には、いくつもの廃墟が残っている。土地の状況を理解するのは、少し大変だったらしい。
マレーは、スーパーカーの製造へ注力するため、電気自動車関連のゴードン・マレー・テクノロジーズ社を売却。必要なすべての業務を、GMAへ移すことに追われている。
この新社屋では、既に営業部門と管理部門が本格的に稼働中。顧客をお迎えし、クルマの仕様を決めるサポートが始まっている。特別なモデルを並べた、コレクション・ショールームも用意されている。
敷地の奥には、巨大なアッセンブリー・ワークショップが完成済み。F1マシン用のワークショップを、3倍くらいに拡大した広さがある。もうすぐ、専用の塗装ワークショップも動き出すという。