2024年の欧州ベストセラーは「ルーマニア車」 圧倒的な差で1位 EVは低迷も回復の兆し

公開 : 2025.02.05 06:05

昨年の欧州ベストセラー車はダチア・サンデロで、2位のルノー・クリオを5万台以上引き離してトップに立った。3位はVWゴルフ。EVとディーゼル車の低迷が目立つが、EVの販売は今年回復するとの予測がある。

小型のBセグ車が伸長 ディーゼルは低迷続く

2024年の欧州新車市場における最多販売車種は、価格重視の小型車であるダチア・サンデロで、その差は圧倒的であった。

調査会社ジェイトー・ダイナミクス社のデータによると、サンデロは昨年欧州(英国を含む)で26万8101台が登録され、2位のルノー・クリオ(日本名:ルーテシア)を5万台以上引き離した。

ルーマニアの自動車メーカーで、ルノー傘下のダチアが販売する小型車「サンデロ」
ルーマニアの自動車メーカーで、ルノー傘下のダチアが販売する小型車「サンデロ」

3位はフォルクスワーゲン・ゴルフで、21万5715台を販売した。

2023年のベストセラー車、テスラモデルYの販売台数は17%減の20万9214台となった。しかし、それでもEVとしては欧州ベストセラーの座を維持している。

ボディタイプ別で最も人気が高かったのはSUVで、全体の54%(692万台)を占めた。これは前年比で4%の増加となる。実際、上位50車種のうち27車種がSUVであった。

サイズ別では、「スーパミニ」と呼ばれるBセグメント車の販売台数が1.3%増の200万台(市場シェア15.5%)となった。その一方で、従来の定番であるCセグメント車は1.3%減、Dセグメント車は3.3%減と、それぞれ減少を見せた。

EVの市場シェアは2023年の15.7%から昨年は15.4%に縮小し、一方でガソリン車は47.9%から48.4%に増加した。

ジェイトー社は、EVの低迷はインセンティブ(補助金)の廃止と平均価格の高さによるものと分析している。

しかし、より手頃な価格の新モデル(ルノー5 Eテックやフィアット・グランデ・パンダなど)が市場に投入されるため、2025年にはEV販売が回復すると予測している。

ディーゼル車のシェア低迷は長期化し、前年比1.7%減の14.3%となった。

一方、プラグインハイブリッド車(PHEV)は市場シェアが7.7%から7.3%に減少した一方で、ハイブリッド車は9.9%から11.8%に増加した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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