アストン マーティン、自然吸気V12でル・マン24時間に挑む LMH「ヴァルキリー」公開

公開 : 2025.02.07 06:05

アストン マーティンは今年WECとIMSAに投入予定のハイパーカー「ヴァルキリー」を公開した。6.5L V12エンジンを搭載し、耐久レースの頂点を争う。ハリー・ティンクネルらドライバーズラインナップも明らかに。

市販車ベースのハイパーカー

アストン マーティンは、60年以上ぶりとなるル・マン24時間レースでの総合優勝を目指すレースカー「ヴァルキリー」を公開した。

公道仕様のヴァルキリーをベースに、ル・マン・ハイパーカー(LMH)規定に沿って開発されたモデルだ。LMH規定では、ル・マン・デイトナ・ハイブリッド(LMDh)よりも設計自由度が高い。

アストン マーティン・ヴァルキリー(WEC仕様)
アストン マーティン・ヴァルキリー(WEC仕様)    アストン マーティン

ヴァルキリーは、耐久レースのトップカテゴリーでは唯一のV12エンジン搭載車となる。他のエントリー車両はすべてV8またはV6エンジンを使用している。

また、このエンジンは、キャデラックVシリーズRのV8エンジンと並び、同クラスで2つしかない自然吸気エンジンのうちの1つとなる。

排気量6.5LのコスワースV12エンジンは、耐久レースに合わせてさまざまなチューニングが施されている。最高出力は公道仕様の1155psからレギュレーションで定められた690psに抑えられ、幅広い回転域でより均一なトルクを発生するように調整されているという。

さらに、回転数の上限が引き下げられ、空燃比もリーンに調整されたことで効率性が向上し、ピットストップ間の燃料消費量を抑えることが可能となった。

また、空力性能の向上と、損傷部品の迅速な交換を目指し、ボディ全体が再設計されている。

タイヤ交換を高速化するために、エアジャッキシステムがシャシーに追加された。

アストン マーティンは、今年のFIA世界耐久選手権(WEC)と米国を拠点とするIMSAスポーツカー選手権にヴァルキリーを投入する。

ル・マンでは、ゼッケン番号「007」の車両を英国人ドライバーのハリー・ティンクネルとトム・ギャンブルが運転する。一方、「009」の車両は、デンマーク人ドライバーのマルコ・ソーレンセンとスペイン人ドライバーのアレックス・リベラスが担当する。

ヴァルキリーは、現在アストン マーティンのGT3クラスを担当しているハート・オブ・レーシング(The Heart of Racing)によって出走する。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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