有名な「失敗作」の実態とは? 大ヒットしたのに評価が低い不運なクルマ 12選
公開 : 2025.11.26 11:45
自動車史上には「失敗作」と評されるクルマが数多く存在します。しかし、実際には大ヒットを飛ばし、商業的成功を収めたものも少なくありません。今回はネガティブな評価と販売実績が釣り合わない有名なモデルを紹介します。
もくじ
ー評価と販売実績は必ずしも比例しない
ーAMCグレムリン
ーオースチン・アレグロ
ーシボレー・サイテーション
ーシボレー・コルヴェア
ークライスラーPTクルーザー
ーフォード・エスコート(5代目)
ーフォード・ピント
ーラーダ・クラシック
ーモーリス・マリーナ
ールノー・ドーフィン
ートラバント601
ートライアンフTR7
評価と販売実績は必ずしも比例しない
自動車の歴史には、何らかの問題を抱えたクルマが散見される。
設計が拙劣だったり、製造品質が粗悪だったり、マーケティングが不十分だったり、あるいは単に時代と合わなかったりしたのだ。その理由は数えきれない。大半は売れ行きが振るわなかったが、驚くほど好調だった例もある。

今回は後者にスポットライトを当てたい。ネガティブなイメージを持たれることもあるが、商業的には成功を収めた12台をアルファベット順に紹介する。
AMCグレムリン
グレムリンは、その名称やデザイン、あるいはその両方から、「悪いクルマ」のリストにしばしば登場する。これは少し不公平だ。後世になってこのクルマを高く評価する人々もいる。その理由は、パワーと経済性の両立(2.0Lから5.0Lまで多様なエンジンを搭載)、驚くほど剛性の高いボディ構造、そして1970年発売のクルマとしては非常に革新的だった外観にある。
グレムリンは、1979年にほぼ同じデザインの後継車AMCスピリットに置き換わるまで、約70万台が売れた。この事実を無視することはできない。

これは十分な成功と言えるだろう。ライバルのフォード・ピントには販売台数で大きく差をつけられたが、そもそもAMCは「ビッグスリー」よりはるかに小規模な企業であり、リソースも格段に少なかったのだ。
オースチン・アレグロ
英国のコングロマリット、ブリティッシュ・レイランド(BL)は、今も昔も設計の拙さ、信頼性の低さ、労使関係に関するジョークのネタの宝庫となっている。1973年に発売され、2度の大幅改良を経て9年間生産されたアレグロは、特に話題に上がることが多い。
デザイナーのハリス・マン氏(1938年生まれ)の意図とは裏腹に、見た目はずんぐりむっくりとしている。エンジンは旧式で、トランスミッションの質も疑問符が付くものだった。さらに有名な四角いステアリングホイールは、初期段階でラインナップから外されたにもかかわらず、多くの人がアレグロの特徴だと信じているようだ。

とはいえ、アレグロが世間で言われるほどの大失敗作だったわけでもない。確かにBLの経営難を救うほどの利益は上げられなかったが、10年足らずで約67万台を売り上げた実績は、諸事情を考慮すれば決して悪いものではない。
シボレー・サイテーション
シボレーが1世紀以上にわたり生産してきた市販車の中で、サイテーションほど酷評されたクルマはほとんどない。この評判は、発売当初に同車に魅了された多くの人々にとって大きな驚きだったに違いない。
サイテーションは1980年代に投入されたシボレーの最新モデルであり、初の前輪駆動車でもあった。初期のメディア評価も非常に好意的だった。では、何が問題だったのだろうか。

1980年の販売台数だけを見れば、サイテーションは大成功だったと言える。その年だけで80万台以上が売れたのだ。しかし、販売はすぐに急落した。生産終了までの残り5年間で売れた台数は、最初の1年分とほぼ同数だった。
ジャーナリストに試乗用として提供された車両は、一般販売車よりはるかに優れていたという報告が複数ある。主に、激しいトルクステアが調整されていたためだ。またサイテーションは、ブレーキ時に後輪がロックする傾向があり、しばしば悲惨な結果を招くことで悪名高くなった。単一モデルで160万台を売り上げることは大成功と言えるが、それは発売初年度の好印象に助けられたものだ。
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