充電不要の開放感 ミニ・クーパー 長期テスト(1) EV版とは中身が異なる新世代

公開 : 2025.02.08 09:45  更新 : 2025.02.14 07:51

先代の基礎骨格を土台に、車名も新たに新世代へ一新したミニ・クーパー オシャレでプレミアムな小型ハッチバックの訴求力は? エンジン仕様の日常との親和性は? 英編集部が深掘り

バッテリーEV版とは中身が異なる新世代

新しいミニ・クーパー Cを、完全な新世代と表現するのは適正なのだろうか。巧妙にモダナイズされたボディや、まん丸のタッチモニターが載るダッシュボードの内側には、基本的には2013年発売の先代と同じ、基礎骨格が隠れている。

バッテリーEV版のミニ・クーパー Eは、中国のグレートウォール・モーターと共同開発された、新しいプラットフォームの上に成り立っている。しかしガソリンエンジン版では、BMWのFAAR前輪駆動プラットフォームが続投されている。

ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)
ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)

気合の入ったフェイスリフトだと表現しても、嘘ではないだろう。それでも、内面がまったく異なるにも関わらず、見た目はうり二つ。わかりやすい違いといえば、バッテリーEV版のドアハンドルが、ボディ面とツライチなことくらい。

現在の英国では、エンジンを積んだミニのハッチバックには、3ドアのクーパーの他に、従来の見た目のままの5ドアもある。一方でディーゼルターボエンジンとMTは消滅し、バッテリーEV以外の選択肢は狭められた。

エンジンは、1.5L 3気筒ターボと2.0L 4気筒ターボが選択可能。ジョン・クーパー・ワークス(JCW)仕様も用意されている。コンフィギュレーターで悩む時間は、ずっと短縮されたといえる。

トリムグレードは、スポーツ、クラシック、エクスクルーシブの3段階。ボディ塗装とホイールをコーディネートし、1から3まである装備レベルを選べば、自分のクーパーが仕上がる。

過小評価していた充電の要らない開放感

今回長期テストにやってきたクーパーは、C。グレードはベーシックなクラシックで、レベル2の装備が載る。塗装はご覧の通りイエローで、アルミホイールはダブルスポークの17インチを履く。適度にスポーティで、ハイスペックな雰囲気を漂わせる。

アダプティブLEDヘッドライトに、キーレスエントリー、ヒーター付きのフロントシート、ワイヤレス充電パッド、パノラミックサンルーフなど、上級装備もふんだん。今のところ、不足はまったく感じていない。

ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)
ミニ・クーパー C クラシック3ドア(英国仕様)

レベル3まで奮発すれば、アダプティブ・クルーズコントロールと車載カメラが追加されるものの、現状で満足している。筆者は最近までアバルト500eの長期テストを担当していたが、現実的な航続距離が140km程度だったことが、少し懐かしい。

クーパー Cのガソリンタンクは44L。数分で満タンにでき、燃費はカタログ値で16.7km/L。必然的に、自分の気持ちを開放してくれる。早速、ロンドンの外環道といえる、M25号線の外を目指そうと思わせてくれた。

遠くの目的地を目指す時、どの急速充電器へ立ち寄るべきか、地図を確かめる必要はない。充電の待ち時間のために、ネットフリックスの動画を予めダウンロードしておく必要もない。この開放感を、自分は今まで過小評価していた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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