パワーとトルクは、いくらあっても足りない アズール・コンバーチブル ブルックランズ・クーペ(2)

公開 : 2025.03.02 17:46

コーチビルドの魅力を21世紀に蘇らせた、アズール・コンバーチブルとブルックランズ・クーペ 初代コンチネンタルGTより上の、悦楽を追求したプライベートカー 英編集部が魅力を振り返る

テールを沈め、ノーズを持ち上げ、悠々と加速

ベントレー・コンチネンタル R クーペの車内空間は、明らかに2台よりひと回り狭く、ダッシュボードの位置が近い。1段高い中央部分に、クロームメッキで飾られた補助メーターがズラリ。スターターボタンが独立して備わる。

シートは、クッションが硬めでスポーティ。前方の視界を遮るものはなく、斜め後方も見にくいわけではない。リアピアーが太めでも。

ベントレー・ブルックランズ・クーペ(2008〜2011年/英国仕様)
ベントレー・ブルックランズ・クーペ(2008〜2011年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

ブルックランズ・クーペとアズール・コンバーチブルは、クロームメッキ加工のボタンで、左右4面のサイドウインドウを一括操作できる。ダイヤモンド・パターンでステッチされた、レザーシートが艶っぽい。

メーター類のクロームメッキ・リングや、カーブを描くウッドパネルも美しいが、やや特別感は薄いかも。上下・前後へ任意に位置を調整できる、ステアリングホイールの握り心地は素晴らしい。

伝統の長さを感じさせるアルミ製ペダルは、この3台で共通する部分。広々とした、運転席からの見晴らしも。

手始めにコンチネンタル R クーペで発進してみる。テールを軽く沈め、ノーズを僅かに持ち上げながら、悠々と加速を始める。乗り心地は硬めで、手のひらには頼もしい感触が伝わり、必要なパワーを即座に召喚できる。

静かなまま、流れる景色がみるみる速くなる

それでも、フォルクスワーゲンによる開発資金を得た、21世紀生まれの2台には到底敵わない。ブルックランズ・クーペは乗り心地と操縦性が調和し、ステアリングホイールは軽く回せるが手応えも充分。ロードノイズは遮断され、ブレーキも良く効く。

5342mmもあるクーペが、想像以上に素早く加速し、滑らかに旋回し、軽快にアスファルトを駆けていく。トルクが瞬間に溢れ、シルキーに速度が上昇する。最初は不思議にすら思えるほど。

ベントレー・アズール T コンバーチブル(2006〜2010年/英国仕様)
ベントレー・アズール T コンバーチブル(2006〜2010年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

50km/hから80km/hまでの中間加速は、約2秒。多くのモデルが100km/hに達する時間で、160km/hを超えている。

静かなまま、流れる景色がみるみる速くなる。それが、ドラマチックさを生む唯一の要素といっていい。コンチネンタル R クーペの走りも魅惑的といえるが、シフトアップを感取でき、風切り音が耳へ届く。

ソフトトップ全開のアズール・コンバーチブルも、同じくらい静かで速い。最高出力はブルックランズ・クーペより30ps低いものの、公道の限りその違いは実感しにくい。

レッドラインは、3台とも4500rpm。だが、通常はそこまで回ることはない。トランスミッションやサスペンションがタイトになる、スポーツ・モードはあるが、余計なことのような気がして選ばなかった。そのままでも、20インチのリアタイヤが時々悶える。

アズール・コンバーチブルは、感動するほどボディがフラット。オープンで流していると、別世界へ紛れ込んだ気分になれる。ボディ剛性は、コンチネンタル Rがベースになった1995年の初代より、4倍も高いらしい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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