782psのHV 4代目 ベントレー・コンチネンタルGT スピードへ試乗 スーパーカー×グランドツアラー

公開 : 2024.10.18 19:05  更新 : 2024.11.24 23:26

101.8kg-mを誇るプラグインHVへ一新した、新世代のコンチネンタルGT 最高出力782ps、最高速度334km/h 電気だけで80km走行可能 秀抜な能力は更に拡幅 英国編集部が評価

まったく新しい4.0L V8のプラグインHV

スーパーカー級の速さを備えつつ、高度に洗練され豪華なグランドツアラー。自動車界の王族的なポジションにありながら、実用性もすこぶる高い。2003年に登場したコンチネンタルGTは、まさにそれが体現されたベントレーといえた。

動的能力は、フロントエンジンのアストン マーティンフェラーリへ匹敵。それでいて、最高にラグジュアリーな移動体験も叶えていた。

ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)
ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)

フォルクスワーゲン・グループのMSBプラットフォームを採用し、2019年に登場した3代目では、その特長へ一層の磨きがかかっていた。ホイールを大径化しつつ、ブレーキも強化。最新技術が投じられ、望ましい重量配分を実現していた。

今回試乗した4代目は、さらに能力が拡張している。コンチネンタルGT スピードのボンネット内に収まるのは、592psを発揮する4.0L V型8気筒エンジン。その後方には、189psを発揮する駆動用モーターを内蔵した、8速デュアルクラッチATが続く。

このプラグイン・ハイブリッドのパワートレインは、まったくの新設計。新しいエアスプリングと、デュアルバルブ内蔵ダンパーも採用した。スポーツ、コンフォート、ベントレーという、3種類のドライブモードも調整を受けている。

スポーツ・モード時は、サスペンションの衝撃吸収性を向上。コンフォート時は、しなやかな乗り心地を維持しつつ、強い入力に伴うバウンド感を払拭している。

最大トルク101.8kg-m 電気だけで最長80km走行可

新しいコンチネンタルGT スピードの登場によって、20年間続いたW型12気筒エンジンの時代へ、完全に終止符が打たれた。4代目で提供されるのは、プラグイン・ハイブリッドのみとなる。

歴代のどのベントレーより高性能で、走行時のCO2排出量も大幅に削っている。システム総合での最高出力は782ps、最大トルクは、実に101.8kg-mに達する。

ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)
ベントレー・コンチネンタルGT スピード(欧州仕様)

電子制御される四輪駆動システムと巧妙なトラクション・コントロールの効果で、0-100km/h加速は3.2秒。161km/hまでも、6.9秒で到達する。最高速度は334km/hが主張される。

電圧400Vの電動化技術が実装され、駆動用モーターだけで最長80km走行可能。140km/hまで出すこともできる。カタログ値の燃費は76.8km/Lで、CO2排出量は僅か29g/kmでしかない。

荷室の下へ搭載される駆動用バッテリーは、25.9kWh。最短3時間で100%へ回復できる。走行時の余力でも充電でき、ドライブモード次第では、都市部のゼロエミッション・ゾーンまで充電量を保つよう、エネルギー消費を調整してくれる。

このバッテリーは200kgあり、前後の重量配分は49:51。ベントレーの技術者は、理想的なオーバーステアの操縦性を与えるのに、望ましいバランスだと判断している。もちろん、しっかり電子的に安全性は担保されている。

反面、4代目は歴代で最も重い。シャシーのバランスとパワフルなパワートレインが、2459kgを感じさせないとしても。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    AUTOCAR UK Editor-in-chief。オフィスの最も古株だが好奇心は誰にも負けない。クルマのテクノロジーは、私が長い時間を掛けて蓄積してきた常識をたったの数年で覆してくる。週が変われば、新たな驚きを与えてくれるのだから、1年後なんて全く読めない。だからこそ、いつまでもフレッシュでいられるのだろう。クルマも私も。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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