ルノー 未来的なヨーク型ステアリングの導入検討 ただし「人が安心して使える」ようになってから

公開 : 2025.02.17 06:05

ルノーは将来の市販車にヨーク(操縦桿)型ステアリングホイールの搭載を検討している。ステア・バイ・ワイヤ技術と組み合わせるが、革新的であるがゆえに量産車への導入は「簡単ではない」という。

ステア・バイ・ワイヤ技術と組み合わせ

ルノーは、将来の市販車にヨーク(操縦桿)型ステアリングホイールの搭載を検討しているが、購入者からの信頼が十分に得られてから前向きに推進する方針である。

先月末に公開されたワンオフのコンセプトカー「フィランテ」では、ディスプレイ一体型の2本スポークのヨークを装備している。

ルノー・フィランテ・コンセプト
ルノー・フィランテ・コンセプト    ルノー

フィランテ・コンセプトでは、従来のステアリングラックではなく、電子接続によって操作するステア・バイ・ワイヤ技術を採用し、段差などのフィードバックを電気モーターでドライバーに伝える。

コラムをなくすことで、「車内のスペースが大幅に広がる」と、ルノーのコンセプトカーデザイン責任者であるサディープ・バンブラ氏は言う。「これは将来のクルマに検討していることだが、量産車にこれほど革新的なものを搭載するのは簡単ではない」

トヨタレクサステスラがすでにステア・バイ・ワイヤを実用化している中で、なぜルノーは採用が遅れているのか。その理由についてバンブラ氏は、「主に顧客の受け入れ態勢」だと答え、「トヨタやレクサス(のステア・バイ・ワイヤ搭載車)を実際に購入する人はどれだけいるだろうか?」と問いかけた。

インテリアデザイン責任者ステファン・マイオーレ氏は、同社には「現時点では」ステア・バイ・ワイヤに関する顧客からの十分なフィードバックはないが、フィランテを活用して「この技術を研究し、取り組んでいく」と述べた。

ルノーブランドのデザインを統括しているジル・ヴィダル氏は、AUTOCARの取材に対し、次のように説明した。

「顧客がバイ・ワイヤ技術を積極的に求めているかどうかはわからない。もしそれを提供するとしても、『運転は依然として快適で安全なのか、そのフィーリングはどうなのか?』という点で、非常に安心できるものでなければならない。それが最初の課題になるだろう」

「人々が安心すれば、さらに多くの、より優れたものを提供できる。それが人々の理解と同意を得て、好かれ、愛されるようになるための道筋だ」

フィランテでは従来のアクセルペダルとブレーキペダルを廃し、ステアリングホイールにゲームコントローラー風のトリガーを備えている。しかし、マイオーレ氏はAUTOCARに対し、これはコンセプトであり、将来の市販車に採用される可能性は極めて低いと語っている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    英国編集部ビジネス担当記者。英ウィンチェスター大学で歴史を学び、20世紀の欧州におけるモビリティを専門に研究していた。2022年にAUTOCARに参加。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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