フルハイブリッドに賭けるルノー PHEV拡大せず 次期ルーテシアは電動化?
公開 : 2025.02.04 06:45
多くの自動車メーカーがPHEVに力を入れる中、ルノーはフルハイブリッドに活路を見出している。主力の小型車にはフルハイブリッドかEVが最適との見方を示し、純ガソリンエンジン車は生産終了となる可能性がある。
小型車はフルハイブリッドかEVへ
ルノーは、自社モデルをEVへと移行させるための手段として、フルハイブリッド・パワートレインに注力している。そして、プラグインハイブリッド(PHEV)のラインナップを拡大する計画はない。
これは、トヨタ、フォルクスワーゲン、ステランティス、BMW、ボルボが最近PHEVに多額の投資を行っていることとは対照的な動きである。ルノーブランドのファブリス・カンボリーヴCEOは、AUTOCARの取材に対し、パワートレインの実用性とパッケージング上の制約を考慮した上での判断であると語った。

「3、4年前はまだ、マイルドハイブリッド、フルハイブリッド、プラグインハイブリッド、フルEVのどれを選ぶか、明白ではなかった。パワートレイン戦略にはさまざまな道があった」
「ルノーの決断は、フルハイブリッドに賭けるというものだった。なぜなら、それが低燃費のクルマを実現し、顧客がEVに移行する準備をするための最も簡単な方法だからだ」
カンボリーヴ氏はこう語り、フルハイブリッドは充電の必要がなく、低速走行時に「EV感覚」を味わえることを強調した。
現在、ルノー唯一のPHEVは、欧州で販売されているクーペSUVのラファールEテック4×4である。1.2L 3気筒ガソリンエンジンと3基のEVモーター(前後のアクスルに1基ずつと、統合型スタータージェネレーター)を組み合わせた珍しいモデルだ。22kWhのバッテリーを使用し、WLTPによる電気走行距離は106kmとされている。
ラファールのPHEVパワートレインは、より出力の低いフルハイブリッドをベースとしているため、駆動用バッテリーが空の状態でも電気によるアシストで走行が可能である。カンボリーヴ氏はこれを「プラグインハイブリッド、ハイブリッド」と呼んでいる。
同氏はこのパワートレインの主な利点として、都市部での低燃費走行が可能なこと、燃料タンクとバッテリーが満タン状態での最大航続距離が約960kmあること、そして「大きなトルクと加速が得られる」ことを挙げた。
また、「バッテリーが空になってもエネルギー消費が増えることはない。これはわたしにとって、通常のPHEVの最大の問題点の1つだ」とした。
しかし、このパワートレインをラファール以外のモデルにも展開する予定はない。
大手メーカーが複雑な構造のパワートレインを1車種専用とするのは珍しいことだが、カンボリーヴ氏は、ラファールがすでにフルハイブリッドとして販売されているため、開発の費用対効果は高いと述べた。
「以前からあったプラグインハイブリッド技術を追加しただけだ。ハイブリッド技術は他の場所でも利用している。すでに実用化している2つの技術を組み合わせるのは賢明なことだ」
とはいえ、ボディサイズの大きいラファールではマルチエネルギー構成を最大限に活用できるが、他の小型車ではそれほど効率的ではない。ルノーは2021年まで、メガーヌとキャプチャーのPHEV仕様を販売していたが、カンボリーヴ氏は小型車にPHEVを導入することはもはや意味がないと話す。
「セニックの航続距離は600km以上ある。このサイズのクルマでプラグインハイブリッド技術を提案する必要があるだろうか。パッケージの観点では、ラファールほどの強みや独自性はないかもしれない」
「小型のセグメントになると、フルハイブリッド技術が十分である。クルマを充電できる環境であれば、EVにシフトする。プラグインハイブリッドは素晴らしい技術だが、どれほどの利点があるかはクルマのサイズに関係している」
「大きなタンクを積んだり、4つの “エンジン” を搭載したりすることもできる。しかし、基本的にはそれだけのスペースが必要であり、すべてのクルマで価値があるかどうかはわからない」
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