目指すはカッコいい狩人? ジャエクー7 プラグインHVへ試乗 お財布には優しいけれど

公開 : 2025.03.03 19:05  更新 : 2025.05.08 02:22

洗練度が更に劣る1.6Lガソリン 車内は広々

1.6Lガソリンターボの7にも試乗したが、こちらは洗練度が更に劣る印象。勢い良く加速させると、エンジンの粗野な振る舞いが伝わってくる。0-100km/h加速は10.3秒で、その存在感ほど速いわけでもない。

荒れた路面では、乗り心地も優れない。ゴツゴツとした衝撃が、角を丸められることなく届く。車重は軽く、プラグイン・ハイブリッドの7よりコーナリングは良好ながら、姿勢制御が緩いことは変わらず。ステアリングが軽すぎ、全体的な調和度も高くない。

ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)
ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)

プラグイン・ハイブリッドの7は、ラグジュアリーのシングルグレードだが、1.6Lガソリンでは1つ下のデラックスも選択できる。その装備は充実しているものの、内装は全体的に安っぽさが拭えず、シートの表皮は樹脂のような硬さがあった。

車内空間は、ガソリンターボでもプラグイン・ハイブリッドでも広々。リアシート側にも、平均的な身長の大人がゆったり座れる。前後や上下方向の余裕も大きい。

小物入れなど、収納はふんだん。センターコンソールの下にある小物入れは、大きめのスマートフォンでも問題なく置ける。対して荷室の容量は412Lと、ライバルより小さめ。ガソリンターボでは床下収納も用意されるが、ティグアンより60L以上狭い。

足りない動的な磨き込み お財布には優しい

ラグジュアリーでは、素材は明確に上質に。ダッシュボード中央のタッチモニターは、13.2インチから14.8インチへ拡大する。プラグイン・ハイブリッドでは、シフトセレクターはトランスミッション・トンネルではなく、ステアリングコラム側へ移動する。

実際に押せるハードスイッチはほぼなく、車載機能の殆どは、タッチモニターを介して。システムの応答性は悪くないものの、メニュー構造が複雑で、使いやすいとは感じにくかった。走行中は、助手席の人へ操作を任せるべきだろう。

ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)
ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)

アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、ワイヤレスで対応。モニターを縦方向にスワイプすると、ショートカット・アイコンが表示されるのは、良い機能だと思う。

お財布には優しい、ジャエクー7。動的な磨き込みが足りず、インフォテインメント・システムの操作性に優れるわけではないが、それ以外の完成度が低いわけではない。車内は実用的だし、プラグイン・ハイブリッドの電気だけで走れる距離も短くない。

欧州や日韓の競合以上にオススメできるかと聞かれると、言葉に詰まってしまうが。

◯:実用性と広さを重視した明るい車内 滑らかで静かなプラグイン・ハイブリッド 欧州のライバルよりお手頃な価格
△:柔らかすぎるサスペンションで乗り心地の洗練度が低い 荒々しい1.6Lガソリンエンジン 質感の劣るインテリア

ジャエクー7 SHS ラグジュアリー(英国仕様)のスペック

英国価格:3万5065ポンド(約684万円)
全長:4500mm
全幅:1865mm
全高:1680mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:8.5秒
燃費:142.7km/L
CO2排出量:29g/km
車両重量:1795kg
パワートレイン:直列4気筒1499cc ターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力:203ps(システム総合)
最大トルク:31.4kg-m(システム総合)
ギアボックス:CVT(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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