速さ以上を求めたい メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッドへ試乗 最長88kmを電気だけで対応可

公開 : 2025.03.21 19:05

平滑な路面なら魅力的な操縦性や乗り心地

モーターの制御には、少し疑問が残った。9速マルチクラッチATが高めのギアへ入っている時に、効果的にトルクが補完されるような印象が薄いのだ。低回転域にある直6エンジンを、積極的にアシストしているとは感じにくい。

試乗車は標準の21インチではなく、22インチのアルミホイールを履いていたが、平滑ではないアスファルトでは、やや乗り心地が落ち着かない印象。エアサスペンションが標準装備ながら、コンフォート・モードでは減衰力の調整が充分ではないように思えた。

メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド4マティック+ プレミアム(英国仕様)
メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド4マティック+ プレミアム(英国仕様)

スポーツ・モードの方が、乗り心地はベター。それでもメルセデスAMGの水準で上質とはいいにくく、路面からの隔離性はもう少し高められるだろう。

ステアリングホイールには、控え目だが、情報がある程度伝わってくる。しかし減速時には、わだちやうねりによる影響を受けやすい。ブレーキペダルを踏んだ感触も、少し人工的といえる。

鋪装したての路面なら、操縦性は魅力的。乗り心地も上質。カーブでは、2725kgの車重から想像する以上に、鋭いコーナリングを披露してみせる。そんな瞬間は、グレートブリテン島では限られるとしても。

総じてAMG GLE 53 ハイブリッドの運転体験が、ブランドへ期待するものへ届いているとは表現しにくい。車重を巧みに包み隠し、洗練された走りを享受できつつ、ドライバーが望めばホッドロッドのようなアグレッシブさを楽しめるなら、望ましいのだが。

操縦性も動力性能も本物のAMGとは呼びにくい

高級SUVに求められる上質さと実用性を叶えつつ、スポーティな走りと環境性能も追求しようという目的は理解できる。しかし、説得力のある形で達成はできていないようだ。操縦性も動力性能も、本物のV8エンジンを積むAMGには及ばないだろう。

確かに、70kmを電気だけで走れる能力は評価できる。洗練性も、このクラスとしては間違いなく優れている。しかし、それだけでは訴求力を完全には補填できていないように思える、というのが本音だ。

メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド4マティック+ プレミアム(英国仕様)
メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド4マティック+ プレミアム(英国仕様)

ちなみにインフォテインメント・システムには、現行のメルセデス・ベンツとしては珍しく、まだタッチパッドが残っている。タッチモニターだけの時代になると、このインターフェイスの有り難みがよく理解できる。

メルセデスAMG GLE 53 ハイブリッド4マティック+ プレミアム(英国仕様)のスペック

英国価格:9万4360ポンド(約1840万円)
全長:4924mm
全幅:1947mm
全高:1797mm
最高速度:249km/h
0-100km/h加速:4.7秒
燃費:76.9km/L
CO2排出量:30g/km
車両重量:2725kg
パワートレイン:直列6気筒2999cc ツインターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:31.2kWh
最高出力:544ps(システム総合)
最大トルク:76.3kg-m(システム総合)
ギアボックス:9速マルチクラッチ・オートマティック(四輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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